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Brown  作者: Nostalgicman
6/8

episode 6

その外観はまるで巨大な要塞のようだった


鉄壁と呼ぶにふさわしい鋼鉄の外壁は、恐らく核ミサイルでも破壊することは不可能に思えた


彼らが来た場所から西に500フェルク、グラルモ自治政府は、その威厳をたたえて、荒野にたたずんでいた


二人は思わず息を飲み込んでしまう


「彼女はここで生まれたんだ、中に入れば、誰か知っている人に出会えるかもしれない」


「どうやってぇ?」


「・・・・」


そこへ向こうから運搬用ロボットが、荷物を積んだ荷車を引いてくるのが見えた


「あれで・・・」



この場所に見覚えがあった


彼はここにいたことがあった



外があれだけ荘厳だったにもかかわらず恐ろしく暗かった。空気がひどく淀んでいた


喜びのような感情が一切感じられない、寂しい、寂しい空間だった


街はあったのだが、人気が全くなく、明かりもほとんどなかった


向こう側に、一件だけ明かりがついている家があった


近づいていってみると、中では老人が一人、机に突っ伏していた


「お邪魔します」老人は目覚めない


「あのー」肩に手をかけた瞬間、老人の体は砂になって、崩れ落ちた


「うわっ」「うあぁぁぁ」ザックが腰を抜かしてしまう


彼は家の中を見て回った、古い写真立てに、家族の写真があった


老人の若いときの姿があった


「そっそれにしてもなっなんだかここ、100年前の家みたいだねぇ」なんとか腰を上げたザックがつぶやく


言われてみれば、家の形や、家具などが現代の物とは異なっている


この場所では時間が進むことをためらっているようだった


「あれっ、ここだけ床板の色が変だよぉ?」ザックの立つ床板が、黒く変色していた


「これ、取り外せるんじゃ無いか?」やってみると、床板は簡単に外れ、下へと通じる階段が現れた


「いくぞ」「ええぇ?ほんとにぃ?」




階段はどこまでも続いている気がした


気を抜けば、このまま落ちていってしまいそうな感覚に陥った


背中に感じていた彼女の重みだけが、彼の存在を明確にしていた



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