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Brown  作者: Nostalgicman
5/8

episode 5

グラルモにつくまでのミューリの中で、彼はずっと彼女のことを考えていた


「なあザック?今俺たちシェルターの外にいるんだよな?」


「なにいってんのぉ?昨日脱出してきたばかりじゃないかぁ」あきれたように運転席のザックが答える


「だよな・・・」


「それにしても、すごい空だねぇ。教科書で見たのよりもっと汚れてて濁ってるよぉ。今の子供はもう教えられないんだってねぇ」


「ああ、でもとにかく生まれて初めて外へ出れたんだ。思いっきり空気を、って分けにはいかないけど」


「新聞見たぁ?今は東と西で連合軍が組まれて対立してるんだってぇ」


「俺たちはもう所属を失っちまったんだよ。関係ないさ。敵でも味方でも、見つかれば殺される。」


ザックがレーダーを確認する。脱出してから彼はもう吹っ切れていたようだった


「100km圏内には何もいないから大丈夫だよぉ。グラルモは・・・西についたみたいだねぇ」


ミューリのステルス機能の状態を確認し、オートパイロットに切り替えて、ザックは後部座席へと移った


「この娘、ほんとに人間みたいだねぇ。君の言うことが本当なら、僕らはとんでもないことに巻き込まれるかもしれないよぉ」


「・・・」


「そうだな・・」



途中、いくつもの荒廃した街を目にした


数世紀にわたる戦争で、ほとんどすべて焦土と化していた


かつて栄華を誇ったのであろう宮殿や、巨大な塔の残骸も遠くに見受けられた


もう、資源などほとんど枯渇してしまっているのだろう。理由を超えた、名目だけの戦争が無意味に続けられているのだ


もはや人間など、アンドロイドを管理しているだけの存在に等しい


人間は生き過ぎたのかもしれない。滅びると分かっていても、差異を見いだし、序列をつけようとするのだ


人間がいなくなれば、彼女は救われるのかな?


彼は、虚ろな目で、そんなことを考えていた


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