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フィーカスのショートショートストーリー

腐敗牛乳消費への死闘-ROUND2-

作者: フィーカス

 あのまずいクリームシチューが出来てから一日が経った。とりあえず、残ったクリームシチューを処分する方法を考える。

 と、その前に残っていた牛乳をどうするかを考えた。今日は29日、賞味期限は23日。賞味期限から考えると、絶望的な状態である。

 だが、クリームシチューの元となった牛乳と、今回の牛乳は少々事情が異なる。

 まず、前回の牛乳は脂肪分が高い濃厚な牛乳だった。つまり、その分腐敗速度が速くなったと考えられる。

 そして、前回は開封してかなり経っていたが、今回は未開封。よって、前回よりも腐敗していないと考えられる。

 腐敗する前ならヨーグルトを加えて発酵する、腐敗しきっているなら食べずに牛乳石鹸にしてしまう、という案をいただいたが、ここはやはり調理して消費したい。この信念は変えたくなかった。傍から見たらアホな部類だろう。


 さて、上記の状況を踏まえ、まず直接飲むことを考えた。が、さすがに加熱せずに飲むのは危険と考え、一応なべに入れて火にかける。沸騰直前で砂糖を多めに入れる。そして、味見。

 む、これは……いける。普通の牛乳と大して変わらない。これをカップに移し、インスタントコーヒーを入れる。これで、飲み物は完成。


 さて、問題はここからだ、普通に食べると腐った味がするクリームシチュー。こいつをどうするか。

 ここでふとあることを思いつく。そういえば、近くのパン屋さんでグラタンパンなるものが置いてあった。それをマネてみてはどうだろうか。

 買ってあったフランスパンを薄くスライスし、その上に腐敗味のクリームシチューを乗せる、というか塗る。具が大きいので乗せにくい。

 そしてチーズをかけ、トースターで5分ほどトースト。中を覗くと、ふつふつとチーズが溶けていく様子が見える。


 チン、とトーストが焼けたことを示す音を鳴らす、やけどに気をつけながら、ゆっくりと皿に移す。

 ふむ、これが腐敗牛乳から作られたクリームシチューを使ったといわなければ、ただのおいしそうなグラタンパンである。処分料理第2号、完成。


 今日の朝食はこれでいこう、と小説を書きながら一口。

 ……おや、意外といける。あの変な苦い味はどこに行ったのだろう。コーヒー牛乳も、自分好みの甘ったるい味になっており、完全に普通の朝食となっている。

 小説の手が止まるたびに一口、また一口。あっという間に、グラタンパンは皿から姿を消した。


 しかし、グラタンパンはいくつも作れるものではない。フランスパンも数に限りがあるし、大きめに切った具が邪魔をする。

 やはり、この本体を丸ごと処分する方法を考えるしかない。ということで、買ってあった鳥のもも肉を解凍。具を増量し、牛乳の腐敗味を消してしまう作戦にでた。


 夜。夕食の時間である。解凍したもも肉を適当な大きさに切り、マーガリンを溶かしてフライパンで炒める。ある程度火が通ったら、まずいクリームシチューと水を投入。これで、濃度が薄まった。

 当初ここにカレールーを入れるつもりだったか、クリームシチューとカレーじゃ合わないだろうということで、デミグラスルーを投入。何故そのような思考に至ったのかは不明である。

 

 ここで一口味見。あれ、これいけるんじゃね?

 そして残っていたご飯にかける。この料理は何というのだろうか。クリームハヤシライス? 奇妙な料理だ。処分料理第3号、完成。


 夕食はこれで済ませた。案外うまい。あの腐敗牛乳から作られたと言われなければ、普通に食べれるレベルだ。


 次の日の朝。残ったクリームハヤシライス(仮)を処分すべく、朝食を作ることにした。が、ご飯はもうない。

 ここで、前日のアイデアを使用することにした。すなわち、グラタンパンである。

 残ったクリームハヤシライス(仮)をフランスパンに塗り、チーズをかけて焼く。

 焼けたら皿へ。処分料理第4号、完成。昨日残っていたコーヒー牛乳と共に、食卓へ並べる。


 一口。これは……新製品誕生。似たようなものはあれど、これは多分、初めての味である。多分。商品化したら売れるんじゃないだろうか。

 とにもかくにもあっさり食べあげる。これにて、牛乳の処分は完了した。



 しかし、あと2日しかないのに、冷蔵庫には野菜類が大量に残っている。これを消費しきれるのだろうか。私はそっと冷蔵庫を閉じた。 

 小説ならこの後おなかを壊して体調不良で会社を休んだ、とか出来るのでしょうが、今のところ体調不良にはなっていないようです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 続きがあって良かったです!しかも実話だったんですね!(笑) [一言] 2話目は平和に過ぎた感じだったんですね!1話目で笑いすぎました^^
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