第53話 背中
数日後。
レンバートの広場は、少しだけ賑わっていた。
東の村からの使いが来ている。
「再確認、問題なしです」
「道、安定しました」
「村長から、感謝を」
報告を受け取ったのは、ユーノだった。
「ありがとうございます」
以前なら、後ろに誰かがいた。
今は、一人だ。
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その日の夕方。
ユーノは宿を訪れた。
「……報告です」
「はい」
「東の件、落ち着きました」
「そうですか」
「村長が、
あなたにも礼を言いたいと」
アレンは、首を振る。
「不要です」
「……やっぱり」
ユーノは、少し笑った。
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「正直に言います」
ユーノは、真っ直ぐに言う。
「最初は、背中が欲しかった」
「はい」
「隣にいてくれる人が欲しかった」
「はい」
「でも」
一拍。
「今は違います」
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「もう」
ユーノは、ゆっくりと言った。
「**あなたは、いなくていいです**」
その言葉に、棘はない。
拒絶でもない。
ただの事実だった。
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アレンは、少しだけ目を細める。
「……はい」
それだけを返す。
胸の奥が、静かに温かい。
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「次は」
ユーノは、空を見る。
「自分の後ろに、誰かが立つかもしれません」
「はい」
「その時は」
「?」
「答えは、言いません」
アレンは、静かに笑った。
「それでいいです」
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ユーノが去る。
背中が、少しだけ大きく見える。
以前は追いかける背中だった。
今は、送り出す背中だ。
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ミアが、横に立つ。
「終わったわね」
「はい」
「寂しい?」
「少し」
「でも?」
「安心しました」
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夜。
日記に書く。
> いなくていい、と言われた
> それは、終わりではなく、証明だった
役目は、消えたのではない。
**引き渡された。**
背中は、もう一つ増えた。
それで、十分だった。
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