第52話 答えを言わない
翌週。
ユーノは、一人で村へ向かった。
アレンは、宿の裏庭にいる。
呼ばれていない。
頼まれてもいない。
それでいい。
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昼過ぎ。
小さな足音が、砂を踏む。
「……戻りました」
ユーノだった。
「おかえりなさい」
「報告、します」
少しだけ誇らしげだ。
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「土砂、少し流れました」
「はい」
「でも、道は残りました」
「はい」
「再確認、必要です」
「はい」
アレンは、それ以上何も言わない。
問いも、助言も、評価も。
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沈黙が続く。
以前なら、ここで何か言っていた。
良かった点。
改善点。
別の視点。
だが、今日は違う。
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「……」
ユーノが、少しだけ落ち着かない様子で言う。
「何か、ありませんか」
アレンは、首を振った。
「ありません」
「本当に?」
「はい」
迷いのない声だった。
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少しの間。
風だけが通る。
やがて、ユーノは小さく笑った。
「……分かりました」
「はい」
「大丈夫です」
その言葉は、自分に向けたものだった。
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「もう」
ユーノは、真っ直ぐに言う。
「同行は、いりません」
「はい」
アレンは、うなずく。
寂しさはある。
だが、それ以上に――
「行ってきます」
「いってらっしゃい」
それで、十分だった。
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ユーノが去ったあと。
ミアが、ゆっくり近づく。
「……何も言わなかったわね」
「はい」
「意地悪?」
「いいえ」
一拍。
「必要ありませんでした」
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夜。
日記に書く。
> 答えを言わなかった
> 必要がなかった
それは、
冷たさではない。
**役目の終わりだった。**
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