第51話 最後の同行
朝。
宿の入口に、ユーノが立っていた。
以前のような緊張はない。
だが、どこか決意の色がある。
「……おはようございます」
「おはようございます」
アレンは、穏やかに返す。
「今日は?」
「東の小さな村です」
「そうですか」
一拍。
「同行は、頼みません」
ユーノは、そう言ってから、少しだけ笑った。
「……頼まないつもりでした」
「はい」
「でも」
視線が、少し揺れる。
「今日だけ、お願いしたいです」
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ミアが、横から口を挟む。
「最後、みたいな言い方ね」
ユーノは、うなずいた。
「たぶん、そうなると思います」
アレンは、しばらく黙っていた。
「理由を、聞いてもいいですか」
「はい」
「自分で決められます」
「はい」
「でも」
一拍。
「決める前の自分を、覚えておきたいんです」
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東の村。
問題は、小さな土砂の流れ。
放置すれば道が細る。
整えれば、別の場所に負担が出る。
「……どう思いますか」
ユーノが聞く。
アレンは、静かに首を振る。
「どう思いますか」
問い返す。
ユーノは、笑った。
「ですよね」
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村人の話を聞き、
地形を見て、
流れを確認する。
時間は、かかった。
だが、焦りはない。
「……決めます」
ユーノは、紙に書いた。
【仮判断】
・道幅を半分確保
・残りは自然流下
・一か月後再確認
「反対は?」
村人が首を振る。
「……これでいきます」
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帰り道。
「どうでしたか」
ユーノが聞く。
「決めました」
「それだけですか」
「それで、十分です」
ユーノは、少し笑う。
「……もう、一人で行けます」
その言葉は、軽くなかった。
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宿に戻る。
「どうだった?」
ミアが聞く。
「決まりました」
「あなたは?」
「見ていました」
ミアは、うなずく。
「……本当に最後かもね」
アレンは、静かに空を見る。
「はい」
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夜。
日記に書く。
> 一緒に歩いた
> 決めたのは彼だった
最後かもしれない。
だが、終わりではない。
**同行が終わることは、
自立が始まることだ。**
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