第47話 増えすぎた同行
レンバートの朝は、いつもより少し騒がしかった。
掲示板の前に、人だかりができている。
「……また?」
ミアが、小さく呟いた。
視線の先。
そこには、依頼書よりも目立つ位置に、別の紙が貼られている。
【同行希望・相談】
誰かが書いたのを、誰かが真似し、
今では小さな募集板のようになっていた。
「……増えましたね」
アレンは、静かに言う。
名前は書かれていない。
だが、誰に向けての紙かは明らかだった。
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「アレンさん!」
若い冒険者が駆け寄ってくる。
「今日、南の村に行くんです。
よければ――」
「すみません」
アレンは、柔らかく首を振った。
「今日は、行きません」
「……あ」
落胆は、隠せていない。
「別の日なら……」
「分かりません」
正直な答えだった。
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昼前。
今度は別の組が来る。
「一緒に来てくれれば、
判断が早くなります」
「いえ」
「迷わずに済みます」
「いえ」
断る回数が、増えている。
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夕方。
ミアが、腕を組んで言った。
「ねえ」
「はい」
「最近、断る方が多いわね」
「はい」
「理由は?」
アレンは、少し考えた。
「……僕がいると」
「うん」
「決めなくていい理由になる人がいます」
ミアは、目を細める。
「全員じゃないでしょ?」
「はい」
「でも?」
「増えています」
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その夜。
宿の裏庭。
アレンは、木箱に腰を下ろしていた。
以前は、呼ばれることが増えたのが嬉しかった。
今は違う。
「……選ばれるのは」
小さく呟く。
「楽です」
頼られる。
期待される。
求められる。
だが。
「決めなくていい理由になるのは」
一拍置く。
「嫌です」
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翌朝。
ユーノが、少し遠慮がちにやってきた。
「……あの」
「はい」
「今日は、同行は頼みません」
アレンは、目を上げる。
「判断、出してきます」
短い言葉。
だが、はっきりしていた。
「……はい」
アレンは、うなずいた。
「いってらっしゃい」
ユーノは、深く頭を下げて去っていく。
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ミアが、横に立つ。
「……減るわね」
「何がですか」
「同行」
アレンは、少しだけ空を見上げた。
「はい」
「それでいい?」
少しだけ、間があった。
「……はい」
迷いは、完全には消えていない。
だが。
**選ばれることより、
選ばせることの方が大事だと、分かっている。**
同行が増えすぎた。
だから、
断る。
それが、今の線だった。
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