表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
役に立たないと追放された主人公が、 実は“行動=経験値”という規格外成長で、 世界の基準そのものを置き去りにしていく話  作者: 蒼井テンマ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/60

第41話 いなくても、回った

 レンバート冒険者ギルドが、少しざわついたのは朝だった。


 掲示板の中央。

 珍しく、依頼書が一枚だけ大きく貼られている。


【広域案件】

・街道三路の同時不具合

・複数支部連携

・仮判断必須


「……これ」


 ミアが、腕を組む。


「まあまあ大きいわね」


「はい」


 アレンは、素直に答えた。


「距離も、範囲もあります」


「で」


 ミアが横目で見る。


「あなたは?」


「行きません」


 即答だった。


 ミアは、一瞬だけ驚き、

 すぐに小さく笑った。


「……そう言うと思った」


---


 昼前。


 ギルドの会議室では、

 複数の冒険者と職員が集まっていた。


「まず、各地点の状況を共有する」


「判断は?」


「仮でいい。

 線を引くことを優先する」


 誰かが言う。


「全部は無理だ。

 優先順位を決めよう」


 別の誰かが続ける。


 声は落ち着いている。

 怒鳴る者はいない。


 だが、全員が考えていた。


---


 現地。


 東の街道では、

 冒険者がこう書いた。


【仮判断】

・崩落箇所は通行止め

・迂回路を明示


 南では。


【仮判断】

・夜間のみ制限

・昼間は注意喚起


 西では。


【仮判断】

・当面現状維持

・二日後再確認


 判断は、揃っていない。

 だが、混乱もなかった。


---


 夕方。


 報告が、次々とギルドに戻る。


「事故なし」


「大きな滞留もなし」


「不満は出ているが、

 暴発はしていない」


 ハロルドは、深く息を吐いた。


「……回ったな」


 支部長が、静かにうなずく。


「回った」


---


 その話を、

 宿でミアがアレンに伝えた。


「聞いた?」


「はい」


「あなた、呼ばれてない」


「はい」


「それで、成功」


 ミアは、じっとアレンを見る。


「……どう思う?」


 アレンは、少し考えてから言った。


「安心しました」


「悔しくない?」


「いいえ」


 穏やかに、首を振る。


「僕がいない方が、

 続きます」


 ミアは、しばらく黙っていた。


「……本当に、

 変な冒険者ね」


「そうですか?」


「誉めてる」


---


 同じ頃。


 別の街の宿で、

 ガルドは報告を読んでいた。


「……あの案件」


「成功したらしいな」


 エリスが言う。


「しかも、

 “あの人”抜きで」


 ガルドは、静かに紙を置いた。


「……ようやくだ」


「何が?」


「追いかける背中が、

 見えなくなった」


 それは、諦めではない。


 別の道を、

 歩き始めた証だった。


---


 レンバートの夜。


 アレンは、灯りを落とす。


 彼がいなくても、

 判断は残り、

 線は引かれ、

 世界は回る。


 それでいい。


 **誰かが抜けても、

 止まらない世界。**


 それが、

 彼がずっと望んでいた形だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ