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役に立たないと追放された主人公が、 実は“行動=経験値”という規格外成長で、 世界の基準そのものを置き去りにしていく話  作者: 蒼井テンマ


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40/60

第40話 戻ってきた結果

 問題が起きたのは、ガルドたちが現地を離れて三日後だった。


 場所は、街道沿いの古い倉庫跡。

 依頼内容は曖昧で、危険度も低い。


 だからこそ、彼らはこう書いた。


【仮判断】

・現状維持

・顕在化した場合、再調査


 “無難”な判断。

 少なくとも、そう思っていた。


---


「……顕在化、したな」


 ガルドは、報告書を読んで低く呟いた。


 倉庫跡に人が集まり始め、

 夜間に小さな揉め事が起きた。


 怪我人はいない。

 犯罪とも言い切れない。


 だが――。


「判断が遅れた、と」


 エリスが、紙を指でなぞる。


「“現状維持”って書いたから、

 誰も線を引かなかった」


 ブラムが、苦々しく言う。


「使っていいのか、悪いのか。

 分からなかったんだ」


---


 ギルドでの呼び出し。


 受付職員は、責める口調ではなかった。


「失敗、という扱いではありません」


「……だが」


「仮判断は、

 結果とセットで見直されます」


 机の上に、紙が置かれる。


【結果】

・人の滞留が発生

・管理者不在による混乱


【修正案】

・夜間立入制限

・利用目的の明示


 ガルドは、唇を噛んだ。


「……最初に、書くべきだった」


 “顕在化したら考える”。


 それは、判断ではなかった。


---


 宿への帰り道。


「なあ」


 ブラムが、珍しく静かな声で言う。


「俺たち、

 “決めた気”になってただけじゃないか」


 エリスが、ゆっくりうなずく。


「線を引かなかった。

 責任も、持たなかった」


 リーナは、俯いたまま言う。


「……仮判断って、

 逃げ道じゃないんだね」


 ガルドは、足を止めた。


「……ああ」


 短く、だが重い返事だった。


---


 同じ頃。


 レンバートの宿で、

 ミアが報告を聞いていた。


「……元パーティ、

 やらかしたって」


「そうですか」


 アレンは、それ以上聞かなかった。


「行かないの?」


「はい」


 ミアは、少し考えてから言う。


「……冷たい?」


 アレンは、首を振った。


「今、行くと」


 一拍置く。


「“代わりに決める人”になります」


 ミアは、静かに息を吐いた。


「……それを、

 一番やっちゃいけないのよね」


---


 翌日。


 ギルドの簡易指針に、

 また一文が追加された。


> 仮判断には、

> “線”を含めること


 短いが、重い。


---


 ガルドは、その文を見て立ち止まった。


「……線、か」


 エリスが言う。


「引くってことは、

 誰かに嫌われる可能性もある」


「それでも、だ」


 ガルドは、前を見た。


「決めないより、マシだ」


 ようやく、

 同じ場所に立った。


 追いついたわけではない。

 だが、少なくとも――

 逃げなくなった。


---


 レンバートの夜。


 アレンは、灯りを落とす。


 誰かの失敗が、

 誰かの学びになる。


 それでいい。


 **判断は、返ってくる。

 だからこそ、残す意味がある。**


 今日も彼は、

 歩かなかった。


 それで、世界はまた一歩進んだ。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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