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追放されたけど、歩いてるだけで世界が楽になるらしい ~追放=失敗だと思ってたら、 一人になった瞬間から成長速度がおかしくなった件~  作者: 蒼井テンマ


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第4話 普通じゃない人と、普通に話す人

 レンバートの街は、昼前から人通りが多かった。

 商人の呼び声と、冒険者の笑い声が混じり合う。


 アレンはいつも通り、冒険者ギルドへ向かった。

 特別な目的はない。

 仕事があれば受ける。それだけだ。


 掲示板の前で足を止める。


【倉庫整理・荷運び手伝い】


 やけに地味な依頼だが、目に留まった。


「これでいいか」


 戦闘なし。半日程度。

 今の自分にはちょうどいい。


 受付に向かおうとした、その時だった。


「ちょっと待って!」


 横から、少し慌てた声が飛んできた。


 振り返ると、軽装の女性がこちらを見ていた。

 年は近そうだが、目つきははっきりしている。


「その依頼、一人でやるつもり?」


「はい。何か問題が?」


「あるに決まってるでしょ……」


 女性は、思わずといった様子で額を押さえた。


「その倉庫、量が多いの。

 一人でやると、普通は丸一日かかる」


「そうなんですか」


 本当に初耳だった。


「だから、基本は二人一組。

 私もちょうど人を探してて……」


 少し考えてから、アレンは言った。


「じゃあ、一緒にやります?」


「……え?」


 女性は、拍子抜けした顔をする。


「私、ミア。冒険者」


「アレンです」


「……いや、その流れで即決なの?」


「断る理由がないので」


 ミアは一度、深く息を吸った。


「……まあいいや。よろしく」


 倉庫は、街の外れにあった。

 中を見たミアは、案の定という顔をする。


「ほら。多いでしょ?」


 木箱や麻袋が、所狭しと積まれている。


「じゃあ、手分けして――」


「全部運びますね」


「は?」


 ミアが止める間もなく、アレンは箱を持ち上げた。

 一つ、二つ、三つ。


「ちょ、ちょっと待って」


 ミアの声が、明らかに引きつる。


「それ、一箱ずつ運ぶ重さじゃないから!」


「そうですか?」


 アレンは首をかしげながら、普通に歩く。

 息も乱れない。


 結果として、作業は想定時間の三分の一で終わった。


「……終わった、よね?」


 ミアは倉庫を見回し、呆然と呟いた。


「終わりましたね」


「いや、早すぎでしょ!」


 思わず声が出る。


 依頼を終え、報告と報酬を受け取る。

 ギルドを出たところで、ミアが改めて口を開いた。


「ねえ、アレン」


「はい」


「あなた、ソロなの?」


「はい」


「前から?」


「昨日からです」


「……昨日?」


 ミアの表情が固まる。


「その体力で?」


「体力、ですか?」


「そう!

 さっきの荷運び、普通の前衛でも息切れする量だから!」


 アレンは、少しだけ考えた。


「……歩いてたら、自然に上がりました」


「意味が分からない」


 ミアは即答した。


「ねえ、本気で言うけど」


 真剣な目で、アレンを見る。


「自分が普通だと思ってるなら、それ、たぶん違うから」


「そうですか」


 アレンは素直に答えた。


「でも、困ってないので」


「そこが一番怖いんだって!」


 ミアは頭を抱えた。


 しばらくして、顔を上げる。


「……ねえ」


「はい」


「しばらく、一緒に組まない?」


 少しだけ、照れくさそうに言った。


「興味あるし。

 あなた、危なっかしいし」


 アレンは、ほんの少し考えてから答えた。


「いいですよ」


「即決!?」


「誰かと組むの、久しぶりなので」


 ミアはあきれたように笑った。


「……ほんと、変な人」


 そう言いながらも、声は柔らかかった。


 アレンは、ふと思う。


(追放されてから、選択肢が増えたな)


 この出会いが、

 自分の日常を静かに変えていくことを、

 まだ知らないまま。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

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これからもどうぞよろしくお願いします!

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