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第6話:遺跡とスキルと初めての我が家!


第6話:遺跡とスキルと初めての我が家!

「うわぁ……なんだか、すごい場所……」

私たちが足を踏み入れた円形の遺跡は、外から見た以上に神秘的な雰囲気に満ちていた。苔むした石畳、風化してなお荘厳さを保つ柱の残骸、そして中央にそびえ立つ、天を衝くかのような巨大な枯れ木。まるで、忘れられた神殿みたいだ。

《マイコ、シホさん、警戒を怠るな。この遺跡、見た目以上に古い。いつ崩れてもおかしくない場所もあるし、何かが潜んでいる可能性も否定できない》

スラぽんが、いつになく真剣なトーンで警告を発する。うん、こんな雰囲気の場所、RPGだったら絶対ボスとか隠しアイテムとかあるやつだもんね!

私たちは慎重に、遺跡の内部を探索し始めた。

中央の枯れ木は、近づいてみると本当に大きくて、見上げると首が痛くなるほど。表面には、やっぱり見たことのない古代文字みたいな模様がびっしりと刻まれている。

「これ……魔導書の文字と、ちょっと似てるかも?」

私が呟くと、スラぽんが《ふむ、確かに類似性が見られるな。この遺跡と魔導書には、何らかの関連があるのかもしれない》と興味深そうに分析する。

崩れかけた小塔は、どうやら見張り台や小さな居住スペースとして使われていたみたい。いくつか部屋があって、中には石のベッド(みたいな台)や、棚の残骸なんかも残っていた。

そして、スラぽんが言っていた通り、遺跡の一角には、岩の間から清らかな水がこんこんと湧き出している泉があった!

「やったー! 水源確保!」

これにはシホさんも「こりゃあ極上だねぇ!」と大喜び。綺麗な水があるってだけで、生存確率爆上がりだもんね!

一通り探索を終え、私たちは遺跡の中央広場(枯れ木の根元あたり)に集まった。

「どうだい、マイコちゃん、スラぽん。ここ、あたしたちの新しいお家にするには、なかなか良いんじゃないかい?」

シホさんが、満足そうに腕を組んで言う。

「うん、私もそう思う! なんかこう……落ち着くっていうか、守られてる感じがする!」

《防御面から見ても、周囲を石壁に囲まれている点は有利だ。水源も確保できている。いくつかの修繕は必要だが、長期的な拠点とするには申し分ないだろう》

スラぽんも太鼓判を押してくれた!

よし、決まりだ! ここが、私たちの新しい拠点! 私たちの「家」だ!

私が「ここを、私たちの家にするんだ!」と強く、心の中で宣言した、その瞬間だった。

胸の奥が、カッと熱くなった。そして、あの魔導書を手にした時と同じような、温かいエネルギーが身体の内側から溢れ出してくるのを感じた!

「え……な、なにこれ……!?」

《マイコ!? 君から、膨大なエネルギー反応を感知! これは……まさか、ユニークスキル!?》

スラぽんが、今まで聞いたこともないような驚きの声を上げる。

私の身体から溢れ出した淡い光が、まるで意思を持っているかのように、周囲の石壁や崩れかけた小塔へと吸い込まれていく。すると、どうだろう!

壁の細かなヒビが、まるで逆再生でも見てるみたいにスルスルと塞がっていく! 崩れかけていた小塔の石積みが、ガタガタと音を立てて組み上がり、少しだけしっかりした見た目に変わった! そして、私たちが寝泊まりしようと考えていた部屋の床が、ひとりでに綺麗になっていく……!?

「うそ……でしょ……?」

目の前で起こっている奇跡みたいな光景に、私とシホさんは呆然と立ち尽くす。

《間違いない……これが君のユニークスキル、『拠点進化ベース・エボリューション』だ! 君が「拠点」と認識し、強く「改善したい」と願うことで、その場所を文字通り進化させることができる能力! なんてチート……いや、素晴らしいスキルなんだ!》

スラぽんが、興奮でぷるぷる震えながら解説してくれる。

ええええ!? 私にそんなすごい力が!? まるでゲームのチートじゃん!

「で、でも、どうやって使えば……?」

《今はまだ無意識に近い形での発動だろう。だが、意識的にコントロールできるようになれば、建物の修復、強化、さらには新たな施設の建造すら可能になるかもしれない!》

なんだかよくわからないけど、すごいことだけはわかった!

これなら、この遺跡を本当に安全で快適な「我が家」にできるかもしれない!

「よーっし! やる気出てきたーっ!」

私はガッツポーズを決める。シホさんも、「こりゃあ、とんでもないお宝スキルを手に入れたもんだねぇ、マイコちゃんは! あたしも力仕事なら任せときな!」と頼もしい笑顔だ。

それから私たちは、本格的な拠点設営に取り掛かった。

まずは、スラぽんの分析に基づいて、一番安全で快適そうな小塔の一室を私たちの居住スペースに決定!

シホさんが持ち前の腕力で大きな瓦礫を運び出し、私が『拠点進化』のスキル(まだコントロールは下手くそだけど、念じるとちょっとだけ綺麗になったり、隙間風が減ったりする!)で部屋を整え、スラぽんが効率的なレイアウトや補強ポイントを指示する。

三人(二人と一匹)の息は、意外なほどピッタリだった!

夕方になる頃には、私たちの最初の「家」は、見違えるように快適な空間になっていた。

床は綺麗になり、壁の隙間もほとんど塞がって、入り口にはシホさんが見つけてきた丈夫な木の板で簡易的な扉まで取り付けた!

「すごーい! まるでリフォーム番組みたい!」

完成した我が家(仮)を見て、私は感動で胸がいっぱいになった。

その夜、私たちは自分たちで作った家の中で、昨日よりもずっと穏やかな気持ちで夕食をとった。メニューは相変わらず質素だけど、心なしかいつもより美味しく感じる。

食後、私は再び魔導書を開いた。この拠点と何か関係があるかもしれないし、新しい魔法も見つけたい。

スラぽんと一緒に解読を進めていくと、またいくつかの単語が読めるようになっていた。

「えっと……『守りの結界プロテクション・フィールド』……『簡易版』……? これって、もしかして!」

《防御魔法か! しかも、この遺跡の構造図のようなものと、エネルギーラインらしき記述も併記されている……。マイコ、この魔導書、やはりこの遺跡と深く関わっているぞ! もしかしたら、この遺跡自体が、かつて何らかの魔法的な防御システムを持っていたのかもしれない!》

私の『拠点進化』スキルと、この魔導書の魔法。それを組み合わせれば、この遺跡を本当に難攻不落の要塞にできるかもしれない!

なんだか、壮大な目標が見えてきた気がする!

「ふふふ……私たちの最強秘密基地計画、始動ね!」

私はニヤリと笑う。シホさんも、「面白くなってきたじゃないか!」とノリノリだ。

こうして、私たちの新しい生活が、この古代遺跡で本格的にスタートした。

でも、スラぽんがこっそり教えてくれたんだけど……この遺跡の中央、あの巨大な枯れ木の真下あたりから、何かすごく奇妙で、強力なエネルギー反応を感知してるんだって。

それが何なのかは、まだ分からない。

もしかしたら、私たちの拠点作りを脅かす、新たな危険かもしれないし……あるいは、もっとすごいお宝が眠っているのかもしれない。

どっちに転ぶかは分からないけど……

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