三章 ~アネルマ~ (7)
「ガラン、ちょっといいか?」
森に入った俺たちは、ガランの案内でとりあえず前回熊の魔獣と遭遇した場所まで行ってみることになった。俺は先頭を歩くガランに近づき話しかける。
「どうした?」
「さっきの西地区でのことを聞きたくてな。魔獣とはどんな感じで遭遇したんだ?」
「それが…よくわからないんだよな。突然あれだけの数の魔獣が現れたんだ。いち早くニックが気づいてくれたおかげでなんとか対処できたが、気づくのが遅れてたら危なかっただろうな。」
「なるほど。」
「何かわかったのか?」
「いや、昨日も突然魔獣が現れたなあと思ってな。」
「?」
なんとなく見えてきた気がするが、勘違いかもしれないか。目的もわからないしな。まあ警戒しといて損はないだろう。
「この辺り…だな。」
森に入って十分ほど歩いた場所でガランが止まる。周辺の木が窪んでいたりと、戦闘痕が残っているため、この辺りで間違いなさそうだ。
「辺りから魔獣の気配はしないな。」
ここに来るまでの道中でも魔獣とは遭遇しなかった。やはりそういうことなのだろう。
「ねえ、あそこにいるんじゃない?」
グレンダが指さしたのは少し先に進んだところに見えている洞窟のような場所だ。たしかに拠点にはしやすそうだな。調べてみるか。
「待ってカルロ!あれって…」
洞窟へと向かおうとしたとき、後ろからフィリに呼びとめられる。振り向き、フィリの視線の先を見ると、そこには一匹の熊がいた。いやただの熊じゃない。全身に魔力が充満しているのが視える。
「あれが例の…なるほど、たしかに他の魔獣とは格が違うな。」
とはいえバーストほど強いとは思えないし、俺の脅威ではないな。もう目的は達成できたし、倒さずこのまま戻って次の街に向かってもいいけど…。まあ実際に戦ってみた方が確実か。
「油断するなよ。全員でかかるぞ!」
「いや、とりあえず俺一人でやる。俺が受けた仕事なんだ。文句は言わせない。」
俺はガランを制止する。
「なっ、本気か!?」
「カルロ…」
「フィリも援護せずにそこでみんなと見ててくれ。じゃ、行ってくる。」
熊の魔獣に近づくと向こうも俺に気付きじりじりと近寄ってくる。俺とヤツとの距離は五メートルほどだろうか。この距離で見ると改めて熊ってでけえな。たまにおじいちゃんが一人で熊を撃退したニュースとかやってたけど、絶対嘘だろあれ。
ヤツも他の魔獣と同様、牙や爪が強化され、殺傷能力が上がっているようだ。まずは攻撃してみるか。俺は様子を伺うヤツの懐に速攻で近づき、ヤツの腹に拳を打ち付ける。
「硬った。」
ヤツの硬い皮膚、そして分厚い筋肉が立ちはだかる。これはガランでも肉弾戦じゃ歯が立たないな。
攻撃意思を示したことで、ヤツは俺を敵と認識し攻撃してくる。素早くヤツから距離をとるも、すぐさま距離を詰め襲いかかってくる。俺は防御魔法・纏と身体強化魔法で受けるも、吹っ飛ばされ、攻撃を受けた左腕が痺れる。
「攻撃の重さもとんでもないな。」
攻撃力、防御力、それにスピードもある。野球選手なら走攻守の三拍子揃ったいい選手だな。が、まあ予想通りこんなもんだろ。
「攻撃魔法・貫。」
俺は攻撃魔法・貫をヤツの頭に放つが、後ろに少しのけ反る程度に抑えられる。やはり通らないか。仕方ない、もう一段階上の攻撃魔法を使うか。それともう一つ。俺は防御魔法・纏を解く。
「身体強化魔法・重」




