三章 ~アネルマ~ (6)
「ニック!魔獣が街に向かわないように、俺たちで引き付けるぞ!」
「了解です。…あっ!ガランさん後ろ!」
「しまっ…」
「攻撃魔法。」
魔法で弾かれた魔獣はそのまま壁に激突する。
「助かったぜ、カルロ。」
「俺に守られてるようではまだまだなのでは?」
「うるせえよ。」
魔獣の数は十匹ちょっとぐらいか。こんな数の魔獣がいたらすぐに気付きそうなもんだが、群れで行動していたのか?まあ考えるのは後にするか。ガランたちは魔獣が街にいかないように立ち回ってるようだな。
「魔獣が街に向かわないように全員警戒しながら、一人あたり二、三匹倒せば良さそうだな。」
「そんなうまくいけばいいがな。」
「自信ないなら俺が全部倒してもいいけど?」
「アハハッ、ガラランのことそんなに煽らないであげなよ、カルロ。」
「誰がガラランだ!お前らマジ、なめすぎだぞ!」
「いや話してないでこっちに集中して下さいよ!」
会話しながら戦う俺たちにニックが注意してくる。
「お前に言われなくても集中してる…よ!」
ガランは攻撃魔法…ではなく己の拳で魔獣をぶっ飛ばす。やはり見た目どおりの肉体派のようだ。
「ニックンこそ、ちゃんと二匹は倒してよ~。」
グレンダも魔獣に向けて銃を構え、撃つ…のかと思いきや、中々撃たない。何を待っているんだ?次第に近づいてくる魔獣に対して、グレンダも素早く近づくと、襲いかかってくる魔獣を避け、その懐に潜り込み、至近距離から魔獣の顔に銃撃を与え、一撃で葬った。
銃を使うなら中、長距離型の戦い方をすると思っていたが、まさか近接型だったとは。それに魔獣を一撃で倒す火力もある。これは期待以上だな。
「さて、俺たちもさっさとノルマ達成するか。フィリ、今回は特に指示も手助けもしない。自分のやりたいように戦ってみてほしい。もちろん、助けが必要ならすぐに言ってくれ。」
「一人で大丈夫だよ。列車の中でカルロがたくさん教えてくれたから、いろいろ試してみようと思う。」
「そうか、じゃあいくぞ。」
俺は防御魔法・壁で素早く魔獣を三匹囲うと、攻撃魔法を準備する。
「攻撃魔法・貫。」
防御魔法を解除すると共に、攻撃魔法を三発放ち、三匹の魔獣の脳天を貫く。はい、ノルマ達成っと。他のみんなはどんな感じかな?
すると後ろから魔獣のうめき声が聞こえてくる。振り返るとフィリの前で全身燃え上がった魔獣がじたばたし、やがて動かなくなる。エグい火力だな。バーストにも引けをとらないぞ。
続いてフィリは魔術書のページを捲ると、襲いかかってくる魔獣に水魔法を放つ。高水圧で放たれた水魔法は魔獣の身体を切断した。バースト戦で使ったときはまだ細かい調整が出来ず、大量の水を出すだけだったが、少し教えただけで水量と水圧の調整が出来るようになった。マジでフィリの才能が恐ろしいな。いつか裏切ったりしないよね?
「うまく使えてるな。さすが。」
「カルロのおかげだよ。」
「いやー、二人ともマジで強いんだね。カルロがあんだけ自信満々だったのも納得いくよ。」
グレンダも魔獣を三匹倒し、俺たちと合流する。
「グレンダも、正直口だけだと思ってたから、驚いたよ。」
「失礼だな!まっ、認めてくれたんならいいけどね~。」
「まったくだ。これだけの強さを見せられたら納得せざるを得ないな。」
ガランとニックも合流する。ガランの両手には絞め落とされた魔獣が握られている。身体強化魔法を使っているとはいえ、なんつうパワーだよ。
「納得するどころか、本当にお前らならヤツを倒せるかもしれないと、希望も見えてきた。改めて協力してくれてありがとう。」
ガランとニックは俺たちに頭を下げる。魔獣との戦闘を終え、俺たちの力を認めてくれたようだ。
「頭を上げてくれ。そもそも協力してもらっているのは俺たちの方だ。」
「そういえば、そうだったな。」
「まあまあ、私はどっちにも協力してる立場だから、ここはみんなで私にお礼を言おうか。」
「・・・・・」
「いや全員無視しないでよ!」
「それより、結局熊の魔獣はこの辺にはいないみたいだな。」
「ああ、これだけ騒がしくしても出てこなかったし、今は森にいるんだろう。少し休んだら、森へ向かう。全員準備しておけよ。」




