三章 ~アネルマ~ (4)
翌日早朝、熊の魔獣討伐のために集会所に五人が集まった。
「全員集まったし、改めて自己紹介していくか。」
ガランの仕切りでそれぞれが自己紹介を始める。
「アネルマ警備隊隊長のガランだ。通常の魔獣を倒すぐらいには腕は立つから安心してくれ。」
隊長だったのか。魔力は普通だが体つきがいいし、昨日の魔法もかなりコントロールできていたから、実力は申し分なさそうだな。
「同じく警備隊のニックだ。まだ新人だが、足を引っ張るつもりはない。」
「新人ってどのくらいになるんだ?」
「ニックが入ったのはヤツに街が襲われた後だ。元々魔法の腕がいいとは聞いていたし、警備隊は怪我人が多くてちょうど人手不足だったからな。」
街が襲われた後ってことはまだ五日目かよ。思ったよりも全然新人じゃねえか。
「俺は西地区に住んでいたから、これ以上被害を広げないために、警備隊に志願したんだ。」
それは中々立派な理由じゃないか。ガランよりも魔力が濃くて量も多いし、魔法の腕がいいというのも納得できる。ただ、昨日魔獣に襲われたときは対処できていなかったみたいだし、戦闘経験が乏しいのは不安ではあるか。
「俺はカルロ・ブライト、一応旅人?かな。うん、そんな感じ。熊の魔獣ってのがどのくらい強いのか確認したくてこの街に来た。」
「えっと、フィリシア・フィリウスです。よろしくお願いします。まだ魔法を使い慣れてないですけど、頑張ります。」
警備隊の二人に続いて俺とフィリも自己紹介をする。
「魔法を使い慣れてないって…連れていって大丈夫なのか?」
「フィリは経験の無さを埋められるぐらい才能があるから問題ない。」
ガランとニックは俺とフィリが本当に強いのかどうか、まだ疑っているだろうな。まあ実戦になればすぐに認めてもらえるだろう。
「それじゃあ、満を持して私の番ね!私はグレ…グレンダ!よろしく!」
言い淀んでたし間違いなく偽名だろうな。名前を伏せるってことはそれなりに有名な出自なのだろう。どっかの貴族の娘がわけありで家出してきたってところかな。
「その魔導銃で戦うのか?」
俺はずっと気になっていた彼女の銃についてきく。
「長年共に過ごしてきた私の相棒よ。この子の力で魔獣の頭を吹き飛ばしてあげるわ!」
グレンダ(仮)は俺の頭に銃を向け、マイムでバーンとやってきた。相変わらず楽観的で不安だな。とはいえどんな戦い方を見せてくれるのか楽しみではある。
「全員の自己紹介も終わったし、早速向かうとするか。一応確認しておくが、命が最優先だ。勝てる見込みがないと俺が判断したら、全員で全力で撤退する。いいな?」
「わかってる。」
「まあお金よりも命の方が大事だしね。」
そうはいっても俺は…多分グレンダも、撤退するつもりはさらさらないけどな。




