二章 ~セブクロスト~ (16)
時間になったため、待ち合わせ場所まで行くと、お姉さんはすでに待っていた。
「すいません、お待たせしました。」
「いや、私も来たばかりだから。」
お姉さんは昨日とは違い、私服で髪をおろしている。こういうのってグッとくるよね。
「改めて、セブクロスト警備隊隊員のミーア・スプリングよ。よろしくね。」
「カルロ・ブライトです。よろしくお願いします。」
差し出された手を握り、握手する。女性らしいやわらかい手を想像していたが、しっかりと鍛えられた手で少し驚いた。
「フィリシア・フィリウスです。あの、昨日は家で休ませていただいたみたいで、ありがとうございました。」
「あれくらい当然よ。二人とも元気そうで良かったわ。それじゃあ早速お店に向かいましょうか。」
俺たちは軽く挨拶を済ませると、ミーアさんの案内でお店へと向かった。
「ミーアさんは今日は髪をおろしてるんですね。」
俺はお店に着くまでの軽い雑談をはじめる。
「ええ、仕事とプライベートのオンオフは、はっきりさせたいタイプなのよね。」
「そうなんですね。より大人の女性という感じがして、なんだか緊張します。」
「フフッ、お世辞がうまいのね。ありがとう。」
全くお世辞じゃないし、マジで緊張もしているが、ミーアさんはこういったことは言われ慣れているのだろうな。
ふと視線をフィリにやると、彼女は口元は微笑んでいたが目は笑っておらず、確実に怒りを含んでいた。昨日の夜いい感じの空気になった男が、目の前で別の女性を褒めていたら当然か。フィリには悪いとは思うが、俺はプライベートで女性と会ったときは、ちゃんと褒めるのがマナーだと思っているから、許してくれ。
そう心の中で謝る俺と、静かに怒るフィリの様子を、ミーアさんは微笑ましいなぁといった目で見守っていた。




