二章 ~セブクロスト~ (12)
さて、死体を埋葬するにしても、どこに埋めたらいいんだろうか?この街の墓地に埋めるわけにはいかないし、どこか良さげな場所は…。おっ、街のはずれに山があるな、あそこにするか。俺はバーストを担ぐと、人目につかないよう、急いで山に向かった。
山は緑が生い茂り、風で揺れる木々のざわめきが心地いい。登山道は特に存在していないようなので、適当にいい感じの場所がないか探しながら、獣道を登って行く。しばらく登ると、セブクロストの街が一望できる、少し開けた場所を見つけた。ここが良さそうだな。
さっそく穴を掘って埋めようとするが、あることを思い出し、いったん手を止める。たしか魔獣や魔族は、体内に魔界の瘴気を多量に含んでいるんだったな。このまま埋めたら、山に住む動物たちに悪影響を及ぼし、最悪魔獣化する可能性も考えられる。さすがに俺のせいで、また街が魔獣に襲われるのは良くないな。俺は不慣れな炎魔法で、山火事に十分注意しながら、バーストの身体を燃やしていく。
燃えないんじゃないかと危惧していたが、以外にも人間同様に燃えていき骨となった。戦闘時は炎が皮膚に触れないように、うまくコントロールして使っていたのだろう。それだけの技術がコイツにはあった。
俺は骨になったバーストを掘った穴に入れていく。思えば、人を殺したのはこれが初めてだな(バーストは魔族だけど、魔族は見た目以外人と変わりないから、俺の中では人扱いである)。プロイドも俺の手で殺したわけじゃないし、元の世界でも殺人はしたことがない。よく小学校のいのちの授業で、みんなで豚を飼って、最後に食べるかどうかを決める、みたいなのがある。だがそんなのは所詮小学生向けの甘い学びであり、豚を食うよりも、人を殺すことの方が遥かに命と向き合うことになる。
改めて命というものと向き合って気づいたのは、俺が命の価値を軽く考えているということだ。プロイドをダークネスに差し出したときも、フィリに母親を殺させたときも、バーストを殺したときも、そして空井世界として死んだときさえも、俺は死に対して何の躊躇いも感じていなかった。この世界に来てからも、魔王を倒すまで死ぬわけにはいかない、とは思っているが、死にたくないとは思っていない。
どれだけ追い込まれても、人を殺すことができない人はたくさんいる。しかし魔族が存在するこの世界では、それでは致命的になる可能性が高い。俺は俺が人を殺せる側の人間であることに少し安心した。
「初めて殺した相手がお前で良かったよ。」
骨を入れ終わると、俺は収納空間魔法からエロ本をいくつか取り出し、骨の周りに並べていった。
「これなら満足いくだろう。いろんなジャンルを揃えてあるしな。」
俺はエロ本と共にバーストの骨を埋めると、一度手を合わせた。本来なら名前を刻んだ何かしらを立てておきたいが、誰かに見つかるわけにもいかないため、バーストの墓は何もない平らな地面になった。
そろそろ戻らないと、お姉さんを困らせてしまうな。俺は急いで山を下りると、お姉さんからもらった紙を確認しながら、彼女の家へと向かった。




