二章 ~セブクロスト~ (8)
周囲が炎に包まれる。防御魔法・壁で守ってはいるが、この暑さはヤバい。体力がどんどん削られていく。なんとかここから抜け出したいが、バーストがそれを許してくれない。
俺がとれる最善手は、攻撃魔法で自身の防御魔法ごと、ヤツと周囲の炎を吹き飛ばすことだろうな。それだけの威力の攻撃魔法となると、かなり魔力を消耗するが仕方ない。俺は壁が破られるギリギリのタイミングを狙って、攻撃魔法の準備をする。
よし、今…と思った瞬間、大量の水が降ってきて、周囲の炎が消された。これにはヤツも混乱しているようだ。
これは水魔法?まさかと思いフィリに目をやると、どうやら彼女は防御魔法を解き、水魔法を使って助けてくれたようだ。…って呆けてる場合じゃねぇ!
フィリはバーストの炎を消せるだけの水魔法を使った。ということはヤツの中での倒すべき優先順位が代わる。
バーストはまっすぐにフィリへと向かっていく。フィリは急いで防御魔法のページを開こうとしているが、このままだと間に合わない。即座に別の魔法を発動できないのが魔術書の欠点だ。俺はフィリに殴りかかるバーストの前に防御魔法・壁を展開する。ヤツの右手は壁によって止められたが、俺はヤツの左手に魔力が集中していくのを確認する。もう一度あの技を使う気か。俺はとっさに攻撃魔法を放ち、フィリの体を奥に弾き飛ばす。
バーストの攻撃は外れ、ヤツが飛ばされたフィリに目をやった隙に近づき攻撃する。大技を連発したため、炎魔法で自身を守る余裕のないバーストは、なすすべなく攻撃を受け続ける。フィーバータイム突入だな。
反撃どころか防御すらさせる間を与えずに攻撃を続けるが、今度はバーストの全身から魔力が溢れようとしているのが視える。俺はすぐさま距離をとり追い打ちで攻撃魔法を食らわす。弾き飛ばされたヤツは自身が本屋に衝突することがわかり、発動しようとしていた魔法を使わずに、そのままノーガードで衝突した。やはりエロ本が燃えないようにしたな。
「フィリ、無事か!?」
一気に勝負を決めたいところだが、少し休まないとさすがにしんどい。ひとまずフィリの無事を確認する。
「うん、びっくりしたけど、助けてくれてありがとう。」
「いや、こっちのセリフだ。助かったよ。」
フィリの水魔法がなければ、場が動かずに劣勢のままだっただろうからな。とはいえ、フィリの体力が心配だな。魔法は無限に使えるわけじゃない。使えば魔力を消耗するし、フィリはまだ魔法を使い始めたばかりだから、使用効率もあまり良くない。あれだけの魔法を使ったんだ、かなり疲れているようだ。だが、ヤツを倒すためには彼女の魔法がまだ必要だ。
「フィリ、まだ頑張れるか?」
「当たり前だよ。カルロが勝つまで倒れないから、私。」
「わかった。ならもう一度だけさっきの水魔法を使って欲しい。タイミングは俺が指示する。」
「了解。」
崩れた本屋の店頭からバーストが出てくる。かなり傷を負い、俺たちと同じくらい疲弊しているようだ。
「よし、終わらせるか。」




