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死ねません

 死後の世界や神様というワードが出た時点で怪しいとは思っていたが、まさか本当に異世界転生をさせようとしていたとは。

 いきなり断られた(かなう)は、なんで?どうして?と驚きながら詰めよってくる。俺は若干のけ反りながら説明する。


「俺は後悔なく幸せに死んだんだ。異世界でもう一度人生を過ごさないかと言われても、行きたいとは思わない。」


「でも君、異世界もののラノベとかアニメとか好きだよね?自分がそんな経験をできるなんて夢みたい。とか思わないの?」


 たしかに、彼女と同じ疑問を抱く人は珍しくないだろう。しかし


「作品として触れる分には好きだよ。でも実際にその世界に入りたいと思う人は、そんなにいないと思うぞ。スポーツ観戦は好きだけど、やるのは嫌いって人もたくさんいるだろ。それと同じだ。」


 俺の言い分を聞いた彼女は、なるほどと納得したようだ。


「まあでも、君が異世界転生することはもう決定事項だから、君の意思は関係ないんだけどね。」


 そうなのかよ、なら早く言って欲しかったよ、余計な抵抗をしてしまったじゃないか、恥ずかしい。


「そういうことなら、受け入れるよ。」


 俺の意思を聞かずに決めるなよと言いたいが、神様には逆らえないのでしぶしぶ受け入れる。クラスで委員会を決める日に学校を休んだせいで、みんながやりたがらない生活委員という、何をやるのかよくわからない委員会を押し付けられた中学時代が思い出される。


「面倒ではあるけど、それで人生を終わらせられるなら、のんびり異世界生活を過ごすとするよ。」


 そう言う俺のことを、彼女は腰に手を当て、はぁ~全くこいつは、といった感じで見てくる。


「残念だけどただ生活するだけでは、君の人生は終わらせられない。言い換えると、空井世界(うつろいせかい)の記憶をもった魂は死なせられない。」


 妙な言い換え方だな?だがそれよりも


「何か条件があるってことか?」


 そう聞くと、彼女はニコッと笑い、右手の人差し指を立てた。


「条件はただ一つ、魔王を倒すこと。」


 いきなり出てきた魔王という言葉に呆気にとられる俺をおいて、彼女はつまりと続け、人差し指を俺に向ける。


「君は魔王を倒すまで死ねません。」

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