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二章 ~セブクロスト~ (5)

 ある男が知り合いに見つからないように、普段と格好を変えて、遠くの街の本屋に本を買いに行きました。さて、どんな本を買ったでしょう?

 答えはエロ本一択だろう。とはいえまさかの理由に半信半疑ではあったが、青ざめるバーストを見て正解を確信する。そんな理由で街を襲うなよ。


「きさむ、貴様はいったい何を言ったるんだ?おっ、俺の目的がそんなことなわけないだらう。」


 動揺しすぎて最後旧仮名遣いになってるじゃないか。しかしそんなに気にすることかね?


「別に堂々と買うことはできないだろうけど、そんなに恥ずかしがることでもねーだろ。なんなら仲間と協力した方が魔族だとバレずに買えたと思うぜ。」


「そんなことできるわけないだろ!」


 バーストは声を荒らげる。


「他種族に発情するなんて、そんな恥ずかしいことを明かせばバカにされる。実際にそうだったしな。だから仲間と協力なんてできるわけがない。そんな魔族は俺以外にはきっといない。」


 なるほどな。たとえ姿形が近くても、他種族の生物が性的対象となる人は珍しいだろう。たしかに俺もメスのゴリラに発情するかと言われれば、間違いなくいいえと答える。

 異世界ものでよくあるオークと女剣士が…とか、エルフと恋に…みたいなのはあり得ないわけね。まあそもそも、この世界にはオークやエルフのような、いわゆる魔物は存在していないけど。


「俺のこの秘密を知った上司はすぐに広めて、みんなで俺を笑いものにしてきた。だから俺がこの街にエロ本を買いに来たことを知られるわけにはいかない。」


 バーストの表情が引き締まる。


「俺の秘密を知ったお前らは、ここで殺す。」


 バーストの握った拳が燃え上がる。そしてその拳を振り上げる。まずいな、この威力はヤバそうだ。


「フィリ!防御魔法で自分を守れ!」


 避けるか?いや、相殺する。俺は右足を防御魔法・壁で覆い、バーストの拳を蹴りで受けとめる。が、その衝撃で少し後ろによろめく。


「いきなり攻撃してくるなんて、大人気(おとなげ)ないんじゃないか?」


「精神的に余裕がないんでな。それに…実力的にも余裕はなさそうだ。」


 俺とバーストは互いにニッと笑った。

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