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二章 ~セブクロスト~ (2)

 服屋での買い物を終えると次は雑貨屋に向かった。フィリは先程買った可愛らしい服をそのまま着ている。雑貨屋ではいくつか必要な小物を買う程度で店を後にする。他にも靴や下着なども買い揃えに行き、あっという間にお昼になったので、昼食をすませる。ちなみにさすがに下着はフィリ一人で買ってきてもらった。

 昼食後、俺たちは本屋を訪れた。漫画や小説、ビジネス書など様々な本が売られているが、その数は元の世界に比べるとあまり多くない。しかしこの世界でしか売られていない本もある、それが魔術書だ。

 魔術書とは、魔法を使うための媒介物の一つ。杖ほどメジャーではないが、初心者向けで魔法を使いやすい特徴がある。魔術書は魔道具店でも取り扱っているが、実は本屋の方が品揃えが良かったりする。


「フィリには魔術書を使ってもらおうと思ってるんだ。」


「何で杖じゃなくて魔術書なの?」


「使いやすいってのもあるけど、フィリは魔力量も多くて魔力濃度も濃いから、杖だとやれることが多すぎて、最初は困っちゃうと思うんだよね。だからまずは魔術書で魔法を使うことに慣れてもらいたいんだ。」 


 俺は魔術書を手に取ると、パラパラとページをめくりながらフィリと一緒に中身を確認する。


「ここに書かれているのは何なの?」


「魔法式だよ。ページごとに各魔法の魔法式が書かれてて、使いたい魔法のページを開いて魔法を使うんだ。」


「そうなんだ。あれ?でもどのページも右のページには何も書かれてないんだね。」


「右のページには常時発動系の魔法がすでに書かれていることが多いけど、この魔術書は自由に魔法を組み合わせることができるみたいだな。」


「魔法を組み合わせる?」


「例えば、攻撃魔法の右のページに身体強化魔法を書けば、攻撃に特化した戦闘ができる。防御魔法を書けば、攻防一体のバランスのいい戦闘ができる。自分のスタイルに合わせてカスタムできるのが魅力だな。」


「なるほど、何か面白そう。」


 興味をもってくれて何よりだ。俺は店主の優しそうな丸メガネのおじいさんに、本に魔力を通してみていいか聞いてみると、快く許可してくれた。この人の見た目本屋の店主すぎるだろ。俺は早速魔力を通すと、フィリに使い方を説明していく。


「使い方は杖とあまり変わらないな。本に魔力を通して、使いたい魔法のページを開き、その魔法を発動する。こんな感じだな。」


 俺は空中に防御魔法・壁を作りコンコンと叩く。魔法を解除するとフィリに本を渡して、ためしに魔法を使ってみてもらう。


「うわっ!何かすっごく大きくなっちゃった。」


 相変わらずすごい魔力だな。店主のおじいさんもいきなり現れた巨大な防御魔法・壁に、掛けてる丸メガネと同じくらい目を丸くして驚いている。


「フィリ、落ち着いてやれば大きさも調整できるから。」


 フィリは少しずつ壁を小さくしていく。


「なんとなくわかってきたかも。たしかに杖よりも魔法をコントロールしやすいね。」


 魔術書は魔力濃度の調整が必要ないので、通す魔力量だけで魔法の威力や範囲を調整できる。


「それが魔術書の利点だからな。他にも、魔法式を構築する手間がないことや、開いているページの魔法なら同時に複数展開しやすいのも利点だな。」


「そうなの?カルロは杖でいくつも魔法を使ってたけど。」


「あれは結構技術がいるんだよ。俺がすごいだけで、普通はあんなにたくさんの魔法を同時には使えないもんだ。これだけ聞くと魔術書の方が便利な気がするかもしれないけど、魔術書は常時発動以外だと、同時に一種類の魔法しか使えないのが不便なんだよな。」


 二人で話しながら、他の魔術書を見てみたりしていると、店主のおじいさんが話しかけてきた。


「いやぁ、さっきは驚いたよ。二人とも魔法に興味があるのかい?」


「まあ、そうですね。おじいさんも魔法に興味があるんですか?他の本屋と比べてかなり品揃えがいいので。」


「そうなんだよ、だから本当は魔術書の専門店にしたかったんだけど、奥さんに止められてね。」


 この世界には杖の専門店は存在しているけど、魔術書の専門店は需要的にうまくはいかないだろう。奥さんは英断だったな。


「僕も小さいときに魔術書を買ってもらったんだけど、才能がなくてうまく魔法が使えなかったんだ。だから君たちみたいな子に魔術書に興味をもってもらえて嬉しいよ。」


 別に元から買うつもりだったからいいけど、一冊は買わないといけない空気にされたな。俺はその空気のまま右ページが白紙のものと、一応、右ページが身体強化魔法で埋まっているもの、右ページが防御魔法・纏で埋まっているものの三冊を購入した。

 今日一日でかなりの額を使ったが、まだまだお金には余裕がある。言うても成金息子だからな。


「それじゃあ近くの公園で魔法の練習をしてみるか。」


 そう言って本屋を出ようとしたとき、ガシャンという音と共に何かが店内に入ってきた。


「あれは、魔獣!?」

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