一章 ~フィリシア・フィリウス~ (8)
ダークネスの拠点を出ると、辺りはもう暗くなっていて、路地裏を抜けると、街の街灯や看板に明かりが灯され、煌びやかな世界が広がっていた。これもこの街の一つの姿なのだろう。一応カジノの前まで行き年齢を確認してみると、やはり十六歳未満の入店はお断りとなっていたので、すごすごと広場へ向かうことにした。
広場に着くと、フィリはベンチに座って待っていてくれた。それなりに時間がかかったので、もしかしたらもういないかもと心配していたが、いてくれて良かった。
「フィリお待たせ、悪いな結構時間かかっちゃって。」
「ううん、全然。もう大丈夫なの?」
「ああ、アイツがこの先の君の人生に関わってくることはないから、安心してくれ。」
フィリはそっか…とつぶやき、ありがとうと一言だけ感謝をのべ、それ以上は何も聞いてこなかった。俺の今の発言から、俺がプロイドを殺したのかもしれないと想像がついているのだろう。
「それじゃあ、もう行こうか。」
そう言って駅に向かおうとするフィリに問いかける。
「フィリ、お前は俺と一緒にくる覚悟はできているのか?」
俺は真剣なまなざしでフィリを見つめる。彼女は俺の方を向くとまっすぐに俺と目を合わせた。
「できてるよ。正直魔王を倒すっていうのはまだ飲み込めてないけど、でもカルロは私を助けてくれた。カルロが助けてくれなかったら、きっと私は何も成せずに死んでいたと思う。だからその恩を私は君に返したい。それにカルロがもし本当に魔王を倒したら、その手伝いが私にできたなら、私の人生に意味があったって思えるから。」
何も成せずに…か、耳がいたいな。しかしこれで彼女の覚悟は確認できた。これから俺は彼女に残酷なことをさせる。下手したら彼女には嫌われるかも、いや殺されるかもしれない。それでもそれは彼女が変わるために、彼女がこの先の人生を生きていくために必要なことだ。
「そうか、わかった。ならこの街を出る前に行くところがある。」
「行くところ?」
「フィリの母親に会いに行く。」
「えっ!?」




