一章 ~フィリシア・フィリウス~ (4)
プロイドが次々と放つ攻撃魔法を躱していく。魔法が直撃した屋上の柵がぼこぼこと曲がっている。そこそこの威力ではあるが今のところ俺を殺すつもりはなさそうだ。
「おいおい避けてるだけか?さっきの威勢はどうした!」
攻撃を避けた先にプロイドが回り込んでくる。すかさず腹部を殴ろうとしてきた左拳を俺は右腕でガードする。
「ちっ、さっきの仕返ししてやろうと思ったのになぁ。」
初対面で膝蹴りを食らわしたのを根に持ってるようだ。しかしコイツかなり戦い慣れてるな、隙がないし魔法の使い方も上手い。なんとか一発でかいダメージを与えたいなぁ、どうしようか。
プロイドの攻撃を躱しながら一旦距離をとる。
「カルロ、大丈夫?」
後ろで見ているフィリが心配そうに聞いてきた。一応流れ弾があたらないように彼女の前には防御魔法・壁を展開してある。
「大丈夫だよ、それよりもちゃんと見ておけよ。」
彼女には強くなってもらわないといけないからな。まずは魔法を使った戦い方を実際に見てもらうのが一番だろう。
その後はお互いに攻撃魔法を撃ち合いながら相手の隙を伺うが、中々隙はできない。
「お前、ただ者じゃないな。これだけ撃ち合ってもまだ余裕みてーだし、それに常に身体強化をしているだろうに俺の攻撃が全然通らねえのも謎だ。防御魔法への切り替えが速すぎる。まさか同時に使ってんのか?ありえねーだろ。」
ここまでの攻防でそこに気づくのか、思ってたよりもちゃんと実力者だなコイツ。
「まあ何でもいいか。お前が強けりゃそれだけ金になる。借金返してもお釣りが来るぜ。」
俺の力を把握しつつも自分が負けるとは微塵も思ってないようだな。なら油断しているうちにさっさと勝負を終わらせるか。フィリにも十分戦い方は見せてあげられたし。
俺はプロイドの周辺に複数の攻撃魔法を展開し連続で多方向からの攻撃をしながら素早くヤツに近づく。魔法はヤツが半球型に展開した防御魔法・壁で防がれるが、すかさず削られた壁を殴って破壊しヤツの顔面に蹴りをお見舞いする。が、その右足をヤツは左手で受け止め掴んだ。
「つ~かま~えた。」
ヤツはニヤリと笑うと俺の腹に先ほどよりもかなり威力のあるパンチを食らわす。吹っ飛ばされた俺の体は屋上の柵を越えて空中に投げ出される。プロイドは俺の真上に飛び上がると攻撃魔法を放つ。
「そのまま落ちて死ね!」
コイツいつの間にか俺を殺す気満々だな。空中では身動きがとれないためこのままだと魔法が直撃する。かといって防御魔法・壁で受けてもそのまま地面にたたきつけられるか。防御魔法・纏を使ってるし大丈夫ではあるが、隙を作るならここだな。俺は空中に展開した防御魔法・壁を床にして着地すると、即座に飛び上がって、ヤツの攻撃魔法を避ける。
「はあ!?そんなのありかよ。」
「やっと隙ができたな。」
驚くプロイドの近くまで飛び上がると俺はヤツの足を掴み屋上にたたきつけるように投げ飛ばす。
「クソッ、やってくれるじゃねえか…って、なんだそれは!」
「攻撃魔法・貫。お前が体験したことのない攻撃魔法だよ。」
俺は屋上に着地すると、先ほどよりも遥かに高威力の攻撃魔法をプロイドに放った。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
プロイドの苦痛の叫びがこだまする。俺が放った魔法はヤツの太ももを貫き、直径三センチほどの穴を空けた。俺は傷口をおさえるヤツの後ろに回ると右のこめかみを目掛けて蹴りを入れる。俺の蹴りは後ろを振り返ろうとしたヤツの顔面にクリーンヒット。蹴り飛ばされたプロイドはそのまま屋上の柵に激突し気絶した。




