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一章 ~フィリシア・フィリウス~ (3)

 この世界には他者の魔力を視認できる者が存在する。といっても俺は俺以外にそれが出来る人を知らなかったが、このプロイドという男にもそれが可能なようだ。


「魔力が視えるってどういうこと?」


「そのまんまだよ、俺とコイツは他人の魔力を視ることができる。君を初めて視たときは驚いたよ、君ほど濃度の濃い魔力をもった人は今まで視たことがない。それに魔力量もハンパない。もしかしたら世界一かもな。」


 フィリはまだよくわかっていないようだ。まあ彼女には魔力が視えてないし、魔法を使った経験もあまりなさそうだからしょうがない。


「おそらく魔界調査部隊にも魔力が視えるヤツがいるんだろうな。あそこは才能ある人や実力者には高い金を払ってでも引き入れようとするらしいから、君を売れば交渉次第でかなりの額を手に入れられるだろう。」


「そう…なんだ。でもそんなに金払いがいいなら私を売らなくても自分がそこに入ればいいんじゃない?母さんが確か彼は王都の防衛班に在籍してたって言ってたし、実力者に当てはまるんじゃないかな。」


 たしかにプロイドの魔力も大したものだ。それに王都の防衛班に勤めた経験もあればそこそこの値はつくだろう。でも


「魔界調査部隊は悪い噂が絶えないからね。自分から入りたがる人はいないと思うよ。劣悪な環境で死ぬまで奴隷のように働かされるらしい。」


 魔界調査部隊はとある貴族が発足した部隊で、表では魔界を調査するという名目で、裏では魔獣の肉を高値で売ったり、魔獣と隊員を闘わせて見せ物にしたりしているとか。もちろん俺も、そういった裏の世界の情報に詳しい知り合いから聞いただけなので、実際どうなのかはわからないが。


「お前の言う通りだ、あんなクソ組織に入るつもりはねえ。この街には少し前から部隊のスカウトマンが来てる。そいつが魔力が視えることは確認済みだから、後はそのガキを売って金を得るだけだったってのに、邪魔しやがって。おかげでもう約束の時間を過ぎちまったじゃねえか。」


 どうやらあらかじめアポをとっていたみたいだな。お相手の方には悪いことをしてしまったかもしれない。いやそんなことないか。それよりもヤツの空気が変わってきた。もう話しは終わりかな。 


「まあいいさ。お前もいい魔力をしてるみたいだし、二人まとめて連れて行けばよりいっそう儲かるからな。」


 プロイドは杖を右手にジリジリと近づいてくる。俺も杖を右手に持ち、構える。


「それじゃあ俺はアンタを売って旅の資金にしようかな。」


「笑わせんな、お前みたいなガキが俺に勝てるわけねえだろ!!」


 プロイドは容赦なく俺に攻撃魔法を放ってきた。

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