一章 ~フィリシア・フィリウス~ (2)
急いで広場から出ると人気のない路地裏に入った。路地裏に入るとすぐに、空中に地面と平行に展開した防御魔法・壁を足場にして上に上がっていく。防御魔法にはこういう使い方もあって便利だ。そのままホテルと思われる建物の屋上に出ると下を見渡し、男が俺たちを見失っていることを確認する。
「とりあえずは撒いたようだな。」
俺は少女をベンチに座らせ、その隣に自分も座った。
「あの、ありがとう。えーと…」
「カルロだ。カルロ・ブライト、よろしく。」
「カルロね、じゃあ改めて、ありがとうカルロ。私はフィリシア・フィリウス、フィリでいいよ。」
お互いに軽く自己紹介を済ませると、俺は早速フィリにあの状況に到った経緯を聞くことにした。
「話したくないかもしれないが、確認しておきたいこともあるからできれば話して欲しい。」
そう伝えると、彼女はこれまでの彼女の人生と今日何があったのかを話し始めた。
なるほど一般的なDVか。ただあのプロイドとかいう男がフィリに今まで手を出さなかったということは、彼女を警戒していたのだろう。どうやらヤツにも視えているようだ。
「アイツは私をどこに売るつもりだったんだろう?やっぱり娼館とかそういうお店に売るつもりだったのかな?」
たしかにフィリは可愛いし、俺と同い年にしては発育もいい方だとは思うが
「それは違うな。」
どうして?と問う彼女に俺は淡々と答える。
「フィリはまだ子どもだし売ったところでたいした額にはならないだろう。もちろん働かせ続ければそれなりに稼げるだろうけど、ヤツは君を売っただけで借金が返せると思っているみたいだからな。それに何より、これから売る商品の顔は傷つけないだろ。」
フィリはヤツに殴られた頬をさする。彼女の話しからしてヤツの借金はどこかの店に彼女を売って返せる額とは思えない。となるとヤツが売ろうとしたのはそういった店ではなく、彼女を高額で買うであろうある組織。その心当たりが俺には一つある。
「ヤツが君を売ろうとしたのは多分…」
すると屋上に通じる唯一の扉がガチャっと開かれた。出てきたのはやはりプロイドだった。思いの外早く見つかったな。
「やっと見つけたぞクソガキ、さっさとそいつを寄越せ!」
結構怒ってるなぁ。俺はヤツを煽るようにニヤリと笑う。
「悪いが彼女は俺がもらう。お前にはやらない。」
「ふざけんな!だいたいお前にとってそいつに何の価値があるっていうんだよ。それとも単純に惚れたのか?」
「価値ならあるさ。だからお前も彼女が欲しいんだろ?彼女を魔界調査部隊に売るために。」
魔界調査部隊と聞いてフィリはどういうこと?といった様子だ。そしてプロイドも
「何でわかった?」
「俺も視えるんだよ。お前と同じで、彼女の魔力が。」




