一章 ~フィリシア・フィリウス~ (1)
列車に三十分ほど揺られて最初の街フロリスにたどり着いた。ロカレスタとは随分雰囲気が変わり、田舎っぽさは感じられない。駅を出ると掲示板があり、片面には街の地図が、もう片面にはお店のチラシや魔界調査部隊隊員募集のポスターなどが貼られている。地図を確認してみると、この街は大きく二つの地区に分けられるようだ。西側に居住区や一般的なお店や宿泊施設がある地区、東側にカジノや娼館などがあり夜に賑わいそうな治安の悪そうな地区。カジノや娼館に興味はあるが、この世界の成人は十六歳以上と定められているので、未成年である俺が入ることはできないんだろうなぁ。
駅は街の南西に位置しており、西からきた俺にとってはまさにこの街の玄関といえるだろう。駅から北に真っ直ぐ進んだところに大きな広場があるようなので、とりあえずはそこに向かって歩き出す。駅から広場までの道にはたくさんの出店が並び、多くの人々で賑わっている。野菜や果物などの食料品店や、服や小物を売る雑貨屋などが並んでいる。中には変なパフォーマンスをしながら料理を作っている店なんかもあった。どの世界でも他店との差をつけるためにこういうことをしだす人っているんだな。
いろんな店を回りながら広場に着くと、何やらざわついている。人混みを抜けて前に出ると、どうやら大人の男が女の子を殴って泣かせたようだ。最初はどうでもいいかとこの場を後にしようとしたが、殴られた少女を視て俺は驚いた。とっさに杖を取り出し身体強化魔法を使った俺は少女と男の間に入り、もう一度彼女を殴ろうとした男の腕を受けとめた。
「何だお前?」
その問いには答えず俺は男に膝蹴りを食らわし、少女から手が離れた隙に蹴り飛ばす。俺はすぐに振り返り彼女に逃げるぞと伝えるが、彼女はその場にへたりこんですぐには動けそうになかったので、俺は彼女を抱えて逃げることにした。




