シズク・ハナヤマ
屋敷を出発した俺は最寄りの駅に向かい魔動列車に乗り込んだ。ロカレスタは王都のかなり西に位置しているため列車でいくつかの街を経由しながら東に向かい、魔界と隣接している王都を目指す予定だ。その道中で五人くらい仲間を集められるといいんだが、ちゃんと強いヤツじゃないと足手まといになるだけだからなぁ。
ところでこの魔動列車、シズク・ハナヤマという人物が作ったらしい。名前からして間違いなく転生者だろう。調べてみるとこのハナヤマさん、かなりすごい人だった。魔動列車だけでなく魔動車と呼ばれる車や、明かりを点ける、火を灯す、水を出す、風を送るなど、日常生活で使われる様々な魔道具を作り出した。元の世界でいうと、電車、自動車、電気、ガス、水道、扇風機などを一人で作ったということだ。ヤバイな。
どれも魔法があればいらないように思えるが、魔法を使うときには魔法式を構築する必要があるためその手間が省けるのはとても助かる。それに例えば、明かりのオンオフや明るさの調節を自分でやるのは結構めんどくさい。
この世界は魔法があることで科学技術が全然発展していないので、彼女の魔道具は人々の生活に多大な影響を与えることとなった。今ではどの家庭にも彼女の魔道具が備わっており、元の世界とあまり遜色ない生活をすることができる。
一つ気になるのはどうやってこれらの魔道具が作られているのかだ。魔道具には魔法式が付与されているため、そこに一定の魔力を流すだけで魔法を発動できる。しかし媒介物に構築した魔法式は、本来一度使うと消えてしまうので、どうして彼女の作った魔道具には魔法式が残り続けているのかが謎なのである。彼女だけが使える特別な力なのだろうか。彼女がまだ生きているなら、一度転生者同士話してみたいものだ。




