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第7話 冷姫とワガママ

「やだ」


 子供のわがままにすぎない、そんなことは分かっている。 でもここで引いたら近衛くんとの仲は終わってしまう。

 嫌だ、そんなの──


「話さなかったら友達としての仲も壊れてしまうじゃない」


「え?」


 琉生は口をOの字に開き首を傾げている。


「え?」


 そんな様子を見て頭を混乱させた唯も、つられて琉生と同じように首を傾げている。


「少し話が噛み合ってない気がする」


「そ、そうね。 近衛くんは私とこれから話したくないって言ってるんでしょ?」


「違う、違う! 俺が言ってるのは学校での話だ」


 琉生が慌てて指摘すると、唯は真面目な顔になって言った。


「え、そうなの? なら私の勘違いだったようね」


「そうだな。 で、学校で話すのをやめてもいいか?」


「学校じゃなくても友達として関わってもいいのよね?」


 と、少し恥ずかしそうにモジモジと体を縮めながら唯は言った。


「あぁ、もちろん」


「良かった、ならいいよ」


「ありがとう!」


「うん。 あ、そうだ!せっかくだから連絡先交換しない?」


「れ、連絡先? もちろん。 よろしくお願いします」


「ふふふ、ありがと!」


 琉生が了承すると、唯は微笑みながらはにかんだ。

 その可愛らしい表情から目が離せず、琉生は惚けることしか出来なかった。


 連絡先を交換すると、唯は嬉しそうに「今日は楽しかった。 また遊ぼうね」と頬を染めながら言うと、タタタと効果音がつきそうなくらいに可愛らしい様子で走り去って行った。


 一人残された琉生は、夕食の用意をしないといけないのに少しの間その場を動くことが出来なかった。


 ★★★


 マンションの一室にて、肉の焼けたいい香りが部屋中に漂っている。

 琉生は生姜と醤油で味付けをした生姜焼きを一つ小皿によそい、口に運んでみる。


「うん、美味しい。 味付けはバッチリだ」


 味見をした結果味付けはいい感じだったので、IHの電源を切ってから大皿に生姜焼きを移した。


 生姜焼きが焼けるのを待っている合間に用意した千切りキャベツと一緒に机に運ぶと、タイミングが分かっていたのか、とツッコミたくなるほどグッドなタイミングで玄関のドアが開く音が聞こえた。


「おかえりー」


「ただいまぁ……」


 玄関からは疲弊した声が聞こえてくる。


「くんくん、この匂いはまさか!」


 玄関の方からバタバタと急ぐような足音が聞こえ、その後にリビングのドアが勢いよく開かれる。


「やっぱり生姜焼きだ!」


 リビングのドアを開いて入ってきたのは、見た人に活発というイメージを与える短い黒髪を高い位置でポニーテールにした可愛らしい少女だった。


「やった。 おにぃの生姜焼きは絶品なんだよな〜これを食べるために今日の部活を頑張ったと言っても過言ではないな〜」


朱莉(あかり)、褒めたって何も出ないぞ」


 この朱莉と呼ばれた少女は琉生の実の妹だ。


「えー、ケチー。 ケチおにぃだぁ〜」


「はいはい、ケチでごめんなさいねー。 今度スイーツ作ってやるから今日は我慢してくれ」


 琉生がそう言うと、朱莉は目をキラキラと輝かせながら、服を着替えるために自室へ向かった。


 せっかくだから美味いの作ってやるか。


 やる気になった琉生は、スマホで『美味しいスイーツ メニュー』と検索する。

 ほんの数十年前ならレシピ本を読み漁らなければいけなかったのに、今はインターネットが発達している。

 検索すると上から人気順に、美味しいなスイーツがずらりと並んでいる。


 目に止まったショコラケーキが心を射止めたので、この時琉生はこのショコラケーキを朱莉に振舞ってやるか、とメラメラと胸に炎を宿した。


「「いただきます」」


 朱莉が戻ってきたので、二人は合掌し食事を始めた。


「んん~!! 美味しいよぉ!」


 朱莉は咀嚼し終えると、すぐに感想を伝えてくれる。

 確かに味は旨い。 今までのなかで数えても上位に来るくらい美味しかった。


 この時は琉生も朱莉もお互いにこの時間がずっと続くように、心の底から思ったのだった。

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