第19話 冷姫と熱くも冷たいプール
「──っは!」
琉生はつい先程までプールサイドに居たが、気づいた時には水中で、焦って水面から顔を出す。
「どう。 頭冷えた?」
「頭冷えた?じゃねぇんだよ! 普通に溺れるかと思って焦ったわ!」
と琉生は大きな声を出す。 周囲から視線が集まるが、ほんの数十秒前までは顔を真っ赤にして照れていたので、気づいていない。
「まあまあ、頭が冷えたなら良かったじゃん」
「頭が冷えた? なんのこ──」
どうやら琉生は唯のビキニ姿で顔を真っ赤にしていたことを忘れていたようだ。
(数十秒前のことだけど、脳が自分の身を守るために記憶を消したのだろう。 流石おにぃ)
朱莉はうんうんと頷きながら思う。
「一人で頷いてどうした……」
朱莉の心の中の声など聞こえるはずのない琉生は、少し引き気味の表情を浮かべる。
「と・に・か・く! 今は可愛い可愛い、唯ちゃんの水着姿を褒めないと!」
「それもそうだな」
話をそらされたが、琉生は今すべきことを全うするために、プールから全身を出した。
「唯さん。 その水着姿、水着姿……、水着、み、みず……。 ボンキ──」
「もう一回頭を冷せっ!」
耳元で朱莉に叫ばれたと思った時には、また水中にいた。
「ごめんね。 おにぃはスク水しか見たことがなかったから、唯ちゃんのその露出度の高い姿に照れちゃった見たいだよ」
唯が着ているのは布地面積の小さいビキニの水着だったため、多少の恥ずかしさはあったが、朱莉の言葉として聞いた途端、琉生と同じくらい顔を赤くして、勢いよくプールに飛び込む。
「おにぃも唯ちゃんも、あんまり変わらないじゃん」
と朱莉は口にするが、水の中にいる二人には届かない。
朱莉はせっかくプールに来たからには、楽しまなければと、二人を追うようにプールに飛び込む。
まるで茹でダコのような琉生と唯であったが、三人で遊んでいると、気づいた頃には顔色は元通りとなっていた。
◆
「次はあれしようよ!」
無料で貸出されているボールで遊んだり、流れるプールを満喫し終えた時。 朱莉は少し離れたところに見える大きなウォータースライダーを指さしながら言う。
「楽しそうだな賛成だ」
「私も賛成」
二人からの賛同を得て、三人はウォータースライダーへ向かう。 琉生を中心として、左に唯。 右に朱莉で。
水の中にいなければ見えなかったものも見えるようになる。 自然と琉生の両隣にいる美少女二人に視線が集まる。
朱莉の胸元には白のヒラヒラのフリルの付いたキャミソール型の水着。 そして腰周りには白のショートパレオ。
露出度的には唯と比べると低いが、外見が黒髪清楚美人(※見た目だけの話です)だからか、物凄く視線を集めている。
唯は出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる理想的な体型。 かつ、整った顔に周りより低い身長。
プールに潜む狼共は、唯のことを一目見ると目が離せなくなる。 結果的に多くの視線を集めている。
そして両手に花の状態の琉生には、羨望の眼差しを向けられ非常にいたたまれなくなる。
狼共に「ちくしょー。 アイツずるすぎだろ」や、「俺と変われよ」とコソコソ言われるが、全て耳のいい琉生に届く。
琉生の隣で話しながら笑う唯と朱莉は、気づかないのだった。
そして琉生だけが複雑な気持ちとなるこの状況は、三人がウォータースライダーで並んでいる間も続いたのだった。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたらモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!
ぜひよろしくお願いします!




