第18話 冷姫といざプールへ!
体を揺らされている感覚に見舞われ、琉生は慌てて目を覚ました。
「あ、おきた」
『どうやら泥棒が来た』や、『朱莉が体調を崩した』ということではなかったらしい。 琉生は「なんだ」とだけ言い、二度寝を試みた。
「ってオイッ!」
朱莉は先程よりも激しく琉生の体を揺らすが、固く瞑った琉生の瞼は全く開く気配はない。
「ぐぬぬ……、今日のおにぃは手強い……。 こうなったら、喰らえ!」
「──っいででででッ!」
朱莉は琉生の首元に思いっきり噛み付いた。 慌てて琉生は起き上がるが、ずーんと痛みが続く。
「な、何してくれてんだよ!」
「だってぇ〜、おにぃったら起きるの遅いんだもんっ♡」
「てへっ」と朱莉は可愛らしいポーズをするが、琉生は犬のフンでも見るかのような視線を送る。
「てかおにぃは今日、何の日か覚えてないの?」
「唯さんとプールに行く日だろ? 覚えてるよ」
「お、おにぃが真顔だと……!? 前は唯ちゃんの水着を見る寸前に気絶していたのに……!?」
朱莉は分かりやすくドン引きする。
「悪いか? ──ってなんでその事知ってんだ!?」
「あー、服を着替えてくるねー」
以前琉生が気絶する姿をバッチリと見ていた朱莉は、「や、やべぇ。 こっそり見てたの誰も知らないんだった」と思い、わざとらしい嘘をつき、琉生の部屋を去っていった。
朱莉の出ていった扉を見つめ、琉生は「はー」とため息を着き、スマホで現在時刻を確認した。
「六時前……。 あいつは遠足の日の小学生か!?」
朱莉のせいで覚醒してしまったので、琉生は大人しくベッドから降り、朝食の支度をすることにした。
◆
「唯ちゃんお待たせ〜!」
「ごめん、待たせたかな?」
琉生と朱莉が家から最も近い駅に着くと、唯は柱にもたれて待っていた。
気温が高いということもあり、唯はショートパンツに半袖という布地面積の狭い服を選んでいた。
「ど、どう?」
若干上目遣いで、唯は琉生に服装の感想を求めた。
隣で朱莉は、「ひゅーひゅー!」などと茶化しているが、琉生も唯も見事にスルーしていた。
琉生は聞こえている上でスルーをしていたが、唯は心臓がバクバクで聞こえていなかった。
「とっても可愛らしいけど、ちょっと目のやり場に困る……」
女子との関わりが皆無な琉生は、思ったことをそのまま伝えてしまう。
しかし唯は唯とて男子との関わりが皆無だ。 そのせいか──。
「は、恥ずかしいです……」
唯は「可愛らしい」と言って貰えたことに素直に照れ、「目のやり場に困る」と言われたことに対しては、シンプルに「恥ずかしい」と思った。
朱莉は隣で「おにぃは服装を褒めるのもダメだったのか……」と呟くが琉生の耳に届くことはなかった。
◆
電車を乗り継ぎ約一時間半。 三人は屋内プールにたどり着いた。
「「「お、おっきい……!」」」
三人は口を揃えて言う。 三人が訪れた屋内プールは、全国的に有名な施設だ。
「二人とも! 早く早く!」
朱莉はいつも以上にはしゃぎ、足早に施設内に入っていった。 後に残された二人はお互いに目を合わせ、くすくすと笑いながら後を追う。
更衣室で男女別に別れた。 琉生は男子なのですぐに着替えが終わり、先に更衣室を出た。
(前みたいに気絶しないよう、意識をしっかり保つんだ!)
琉生は男の夢を達成するため、頬を『パシッ』と強く叩き、気合いを入れた。
「おにぃお待たせ〜」
「琉生くん、お待たせ……」
海パン一つで、少し離れたところに見えるウォータースライダーを眺めていると、後ろから声がする。
(ついに! この時がっ……!)
琉生はゆっくりと振り返る。 と、そこには先程よりも布地面積の狭い唯の姿が。
黒のビキニに身を包む唯。 いつも以上に胸がきょ、きょ、強調され……。
「oh......!」
琉生は頭がショートしかけ、言語が日本語から英語に変わってしまう。
「どう、かな……」
駅前で服装の感想を求めてきた時よりも、顔を赤らめて唯は言う。 しかも上目遣いで。
自然にあざとくなった唯に、琉生は胸を強く射抜かれた。
鼓動がとても早くなる、服をほとんど着てないのに、顔だけではなく体が熱い。
「あ、その──」
「はいはーい、感想は後でしっかりと言ってもらいますからねー。」
朱莉は唯に伝えると、琉生の方へズカズカ近寄りながら──。
「とにかく今は頭を冷やせ、ドスケベおにぃ!」
そう言われ、琉生は胸を強く押される。 そして冷たいプールに着水。 物理的に頭を冷やされ、琉生の意識はしっかりと元通りになったのだった。
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