第17話 冷姫と絶品スイーツ
(なんだ、柔らかっ!)
琉生の意識が戻ると、頭が柔らかい感触に包まれていることに気づく。
重い瞼をゆっくりと開くと、目の前には大きな山があった。
(ん、山?)
琉生ぼんやりとしていた脳内も、一気に覚醒する。
慌てて、起き上がろうとしたが目の前には大きな山。 琉生は当たらないようにして、ソッと起き上がった。
「琉生くん、もう大丈夫なの……?」
(やっぱり唯さんだったか。 朱莉の膝枕ではあんな山は拝めないはずだからな……)
琉生はしれっと妹に対して失礼なことを考えるが、周りを見渡した感じ近くにはいないようなので良しとした。
どうやら琉生は気絶した後に、近くのベンチまで運ばれたようだ。
「大丈夫だ。 膝枕とかさせちゃってごめんな」
琉生は謝罪の意を込めて頭を下げた。
すると唯はニコッと微笑み、「大丈夫」と言う。
その声は母が子に向かってかけるようで、自然と胸が暖かくなる。
「ところでだが、朱莉は?」
「《《朱莉ちゃん》》は「自分の水着を買ってくるー」って言ってさっきの店に入っていったよ」
(自分が気絶している間に何があったのかは知らんが、仲が深まったのはいいことだ)
琉生はうんうんと頷く。 そしてすぐに顔を青ざめさせて言った。
「唯さんは水着どうしたの!?」
「試着していたのを買ったよ」
そう言われて初めて、唯の隣に紙袋が置かれていることに気がつく。
(どうやら俺は唯さんの水着姿を拝むにはまだ早いということか……。 記憶にないってことは見る前に気絶したのか? 俺、ダサすぎだろ)
今更唯の水着姿を拝めなかったことを後悔し、海かプール、どちらか分からないが朱莉と行く約束を(強引に)させられたので、その時こそは絶対に見ることを心に決めた。
「お待たせ〜!」
琉生が気絶する前まで居た水着ショップから、元気に走ってくる朱莉。
そんな子供らしい姿に琉生は「やれやれ」と呟き、立ち上がった。
「唯さん、美味しいスイーツを食べに行こっか」
「ええ。 大賛成!」
唯はキラキラと目を輝かせて、すぐさま立ち上がった。
三人はアクアモールの館内マップを見て、スイーツ店の目星をつける。
「ねぇおにぃ! 唯ちゃんが重そうな荷物を持ってるでしょ!? こういう時は持ってあげるのが常識でしょ!」
「え、朱莉ちゃん!? 私は大丈夫だよ」
いきなり変なことを言い出す朱莉に、唯はすぐさま訂正を入れる。
いつも通りスルーしようとした琉生であったが、生憎にも両手はスッカラカン。 仕方なく唯の荷物を持ってあげることにした。
「あ、ありがと」
「おにぃ、流石っ!」
照れながらお礼を言う唯に、大きな声で褒める朱莉。 琉生は非常にいたたまれない気持ちになる。
「おにぃ、流石っ!」
「……?」
同じことを繰り返した朱莉に、琉生は首を傾げる。
「おにぃ、流石っ!」
琉生と自分の手に持つ袋を交互にチラチラ見ているため、嫌で朱莉の考えを理解してしまった。
ここで朱莉の作戦をスルーしたら男が廃るので、朱莉の荷物もあくまで《《ついでに》》持つことにした。
「ありがと!」
朱莉は万遍の笑みで言うのだから、琉生は少し嬉しくなり、スイーツ店まで文句を言うことなく歩いた。
「おいひぃ〜!!」
唯は頬を抑えながら、シュークリームを咀嚼する。
三人が今居るのは、テレビでも紹介された人気のシュークリーム専門店である。
コンビニなどで売られているものも美味しいが、この店のシュークリームは、外がとてもサクサクしており、中には特性のクリームがたっぷりと詰まっている。 まさに神のシュークリームだ。
琉生の向かいには、一つだけでは足らず二つ、三つと注文用端末でシュークリームを頼む朱莉。
琉生は苦笑を浮かべながら、シュークリームを一口頬張った。
「──っ!」
(何だこれは!? 今まで食べたもので一番美味しい! クリームが甘すぎないから胃もたれしない!胃もたれしないから何個でも食べられる!)
テーブルの向かい側に座る美少女二人に続き、琉生もこの店の絶品シュークリームの虜となってしまった。
最終的に琉生は四つも胃袋に入れ胃もたれとなり、朱莉だけではなく唯にまで苦笑される。
この後行われた琉生の水着選びは、吐き気と戦っていたせいか、琉生は全く記憶にないのだった。
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