第一夜
服だけ溶かす訓練されたスライムに転生したんだがちょっと話を聞いてくれるか
PM23:00
繋ぎホーダイの時間だ
私はいつもの様に魔法通信を始める。
魔法モデムで魔法アクセスポイントに接続する。
ENQ
・・・・・・・・・・・・・・
ACK
OK
悩み事相談コーナーにアクセスする。
<ちょっと話を聞いてくれるか>
妙なタイトルのチャットルームがあるな。
鍵付きか
内緒話ってとこか
パスワードはっと
ん・・・
PASS:
0721
OK
レオP:いらっしゃい、モブ!
エルフ:いらっしゃい
ドワーフ:いらっしゃい
スライム:いらっしゃい
モブ:ありがとう
レオP:相談主はスライムさんです
スライム:本日はよろしくお願いいたします。
まずは自己紹介から
私は転生者で
現在の種族はスライムです。
やれやれ、また転生者か
今年に入って何人目だ?
いつもの質問をするか
エルフ:よかったら、どこから転生したか教えてくれないか?
スライム:日本です
エルフ:あなたの生まれた年号を教えてください
スライム:昭和です
なるほど、模範的な回答だ
エルフ:もし、よかったら死因を教えてください
モブ:それはまずいんじゃ?
スライム:いいですよ別に
〇連勤明けにおとなのお店で腹上死したらしい
担当の女神が歯切れ悪く説明してくれました
ALL:無言
エルフ:差し障りがなければスキルを
モブ:それ必要ですか?
エルフ:勿論、無理強いはしません。相談に関係なければスルーしてください
レオP:そうです。あくまでもスライムさんの相談がメインなので
スライム:私の一番のスキルは<服だけ溶かす>です
ALL:ガタッ!!!!
モブ:一同餅つけ、スライムさん詳しく
スライム:女神の転生時の特典スキル<服だけ溶かす>を輪廻転生の理から外れた補填に
取得可能にしてもらいました。
ツリーには表示されていたとはいえ、取得にはそれは血のにじむ訓練しました。
モブ:なるほど、よく訓練されたスライムという認識でよろしいですね
スライム:はい
エルフ:ん?そのスキルを取得してどう生計を立てられる?
スライム:それは今回の相談に関係しますので、これから説明します
私は職業スライムです
転生して迷宮に就職しました。
おかげ様で冒険者に駆逐されることもありませんでした
レオP:いわゆる人工迷宮ですか
モブ:もしかして、女性冒険者のみが入れる迷宮ですか?
スライム:それはノーコメントで
噂に聞くエロ男爵が同好の志を集め作った女性冒険者のみが入れる迷宮(俗称:エロダンジョン) か
スライム:事の起こりは
先輩が合コンで産業スパイの拷問を肩代わりする事になったんだ
スケジュール的には靴下溶かす予定だった
定時あがりで拷問部屋まで行くのに魔王のアトラクションを経由するのが近道だった
モブ:ラスボス戦はめったにないから暇なのか
スライム:ですね
こっそり、通り抜けるつもりだったですが
業務連絡でマジックトーチの不調で一本だけ本物の松明になっていたのを思い出したんですよ。
事故発生!
迷宮内での魔法等のダメージはイメージだけなんですが
器用貧乏職のお客様のレンタル衣装に松明の炎が燃え移り火傷を負われてしまいまして
エルフ:パーティーはサポートしなかったの?
スライム:パーティーメンバーもレンタルのホムンクルスだったので、
命令以外の行動はできないし、治癒魔法もイメージ魔法なので回復できない
モブ:リアルはイメージで回復できないのか・・
スライム:消火する為に、彼女を取り込んで一時的に空気を遮断して、
壁のオブジェに偽装された緊急通報ボタンを押しました
因みにラスボスはサポートメンバーが倒していました
女子医療団が駆け付け、保健室に待機している医師と魔法ビジョンで連絡しながら
治療を始めた
医師の指示で患部を確認したいので衣類を溶かす<服だけ溶かす>を使用する事になった
火傷は酷く、生命の危機にあった
要救助者の意識確認し、責任者との魔法ビジョンにての交渉
一度死んでから蘇生を運営側から提案されるが、経験値とダンジョンで手に入れたアイテム
(ダンジョン踏破の証 他)が無くなるので要救助者から拒否された
エルフ:要救助者は経験値目的で迷宮挑戦している訳だし、蘇生酔いでの経験値の喪失か、
もしくはダンジョン踏破の証が得られないのがでかいのか
スライム:運営は最大の譲歩(GOLDと各種アイテム)を示したんですがね
モブ:いわゆる詫び石という奴か
エルフ:要救助者の治療は?
スライム:私は医師の指示で焼け焦げた皮膚を全て溶かした
今も要救助者を包んでいる
レオP:つまり、要救助者はスライムさんをローブの様に身にまとっていて、
ここからは想像なんだが、スライムさんが要救助者から離れると・・・
スライム:確実に死んでしまう
勿論、迷宮運営からは腰を据えた治療案を提示したんだが、
要救助者は冒険の旅をつづけながらの回復を望んだ
エルフ:現在進行形なのか
スライム:まあ、事情はざっとこんな所です
ドワーフ:鍵付きとはいえ、不用意に喋りすぎでござる、信用してくれているのはありがたいのであるが
ここにいる武士ならば、お主が何処の人工迷宮で何階層で働いていたかまで特定できるでござろう
ALL:ドワーフいたんか
寝落ちしてるのかと思ってた
スライム:そこで相談なんだが
ALL:やっと、相談か、長かったな
スライム:おや、誰か来たようだ
ドワーフ:スライム殿、不用意にドアの前にはお立ち召されるな
深夜の来訪者といえば、ご用心召されよ
スライム:わかってます
スライム(離席中):
エルフ:ドワーフは慎重すぎだよ
レオP:そうですよ
モブ:まったくです。とは言え警戒は怠らない方がいいですが
スライム:どうも、ドワーフさんの指摘通り暗殺者でした
ALL:えーっ
エルフ:暗殺者とは?
スライム:生き残りの脳から情報を得たが、金で雇われたならず者達でした
ドワーフさん忠告ありがとう。ドア越しに槍衾になるところでした
ドワーフ:いや、礼には及ばぬ
モブ:でも、脳から直接って・・・
スライム:おっさんを拷問するのは専門外なのでね
レオP:そうそう、相談
スライム:ああ、相談でしたね
迷宮運営と正面きって敵対するかです
モブ:結論を出すのは早計だ。状況証拠だけでは
エルフ:不祥事隠ぺいとしても、迷宮運営が全て敵とは限らないしな
レオP:もしかして、迷宮運営者は知らないかも
ドワーフ:では、各々方今宵はここまでと、後日意見を持ち寄る事といたそう
スライム殿は御自重あれ
スライム:わかりました。後日また
ALL:異議なし
2024/01/25
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