放浪者-18 『ストパーは、天パの夢』
ポイントと評価が欲しい。
今日この頃・・・・
「・・・・気が付いたみたいね」
俺は瞼をパチクリしながら、瀬之口に顔を向けようとして、気付く。
瞼?
可笑しい。機械人形である俺にそんなものがあるはずがない。
俺は、思わず自分の目元に触れようとして驚く。
「な・・・なんだよ。これ」
黒く変色した爪と指の関節が少し長い所以外、人間と遜色ない腕が其処にあったのだ。
「ま、そりゃ驚くわよね。私も進化する君を見て驚いたわ」
瀬之口が俺に手鏡を向ける。
その手鏡に移った俺は
「ヒャッホー!!夢のストパーだ!!これで雨の日でも爆発しなくて済む!!」
黒く艶やかな真っすぐな髪を持った美少年の姿になっていた。
「驚くポイントはソコ!!というか内蔵されていた武器や防具がなくなっていたことに嘆きなさい!!」
瀬之口の言う通り、俺の強みの一つであった、体に内蔵している武器交換と鋼鉄を埋め込むことで維持していた防御力を失ったのは確かに痛い。
だが・・・・・
「そんなもの夢のストパーの前では、どうでもいい!!」
「良くないわよ!!どこの世界に、様式美を上げる為に肉体性能を下げる馬鹿がいるのよ!!」
瀬之口からしたら、折角手に入れた強力な眷属が大幅に弱体化したのでは堪ったものではないのであろう。
だが、しかし・・・・
「最初からストパーだったお前に、分かるか!!髪が少し伸びただけで、毎朝爆発し中々抑えられない悔しさが!折角ワックスで抑えてもスプレーで固めなきゃ彼方此方にアホ毛が飛び出すやるせなさが!!雨の日は、必ずクリンクリンになり、下手したら桂のようなマッシュルームヘアーになる屈辱が!!そして・・・・」
「天パは将来必ず禿げるとネット上で叩かれた時の絶望感が!!お前に分かるか!!」
「・・・・もういい。黙ってろ。天パ馬鹿」
俺の力説に対し、瀬之口は白けた視線を向ける。
どうやら、この阿保主には、天パの気持ちが分からないらしい。
そんなんだから、恋人に捨てられるんだ。
「・・・・なぜかしら、今物凄く貴方を斬りたく思えるのは」
不穏な気配を感じ取った俺は、悪寒に従って、ステータスを確認し
「・・・・・・瀬之口。弱くなったと決めつけるのは、早計かもしれないぞ」
「は?」
得物の柄に手を掛けていた瀬之口に見せびらかすように、俺は右手を軽く振る。
「それって!!」
俺が得た新たな力に瀬之口は、眼を丸くさせた。




