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序章-前編 『最終決戦から始まる物語』

アートマンの反響がイマイチだったため、改めて別作品を作り直しました。

鬼火のように燃える青い炎に照らされた大広間。

壁の基調は白。そこに金を基本とした細工が施されている。

天井から吊り下げられた複数の豪華なシャンデリアは7色の宝石で作り出され、幻想的な輝きを放っていた。

壁にはいくつもの大きな旗が天井から床まで垂れ下がっている。

金と銀をふんだんに使ったような部屋の最奥 ―― 突き当たりには、数十段階段を上った位置に真紅の布に大きく描かれた紋章がかけられていた。

その前に1つの巨大な水晶から切り出された椅子・・・玉座と呼ばれるものがおかれている。

そんな広間・・・・俗に言う『玉座の間』で


「ファイヤー・ジャベリン!!」


「ぐっ!?」


「よし、怯んだ!!」


「一気に畳みかけろ!!」


似つかわしくない金属と金属がぶつかる衝突音と何かが燃える音やそれよって発せられる怒号。所謂戦闘音に支配されていた。

そう。この世界を魔王の手から救うというテンプレな理由から召喚された俺達2年C組と


「痴れ者が!?」


この玉座の間の主、金属鎧で覆われた巨漢の魔王こと『ディノバルド』との最終決戦によって発生する戦闘音だ。


「待って!!天上院くん!?ディノバルドの魔力がガクッと落ちた!!範囲魔法が来るよ!!」


後方でスキル『生命眼』を発動しディノバルドのステータスを逐一チェックしていたクラスメイトこと犬井巧の警告に俺は、指示を出す。


『生命眼』

分類は戦闘系の初級スキル。

生物の名称だけでなく、ステータスやスキルを見抜くスキル。

戦闘を生業にする者が必ず持つスキル。

初級スキルでありながら、重宝される。

ただし、使用中は眼に負荷が掛かる為長時間の使用は推奨されていない。


「全員、退避だ!!」


「あたしに任せて!!」


俺の指示に従って退避するクラスメイトを守るように、『盾王』という職業を持つ江口春歌が銀色の大型盾を持って前に立つ。


「インフェルノ!!」


「キャメロット!!」


江口の・・・『盾王』が持つ防御系スキル『キャメロット』。


『キャメロット』

防御特化の職業の中では最強に分類される『盾王』の固有スキル

効果は魔力の50%を消費して、10秒間無敵の防御結界を形成するスキルで、その結界に触れた攻撃は、すべて攻撃対象に跳ね返るという効果を持つ。

俗に言うぶっ壊れスキル。


光の城壁によって跳ね返った青い業火が、ディノバルド自身を焼く。


「ぐぅぅぅ!!?己!!小娘!!」


「勇者パーティの盾役であるあたしがいる限り、アンタの大技はすべて無効だっつーの!!」


江口は、青い液体・・・ゲームでいうMPポーションというものを飲みながらディノバルドを挑発する。


「火傷のバフが付いた!?」


犬井の言葉に、俺が命令を下す。


「今だ!!今度こそ突撃!!」


俺達は、目の前で藻掻き苦しむディノバルドに全員が思い思いの技を叩きつける。


「これで終わりだ。魔王!!『救世剣』!!」


俺は、手に持った聖剣から勇者固有スキル『救世剣』を使用する。


スキル『救世剣』

効果:ユニーク職業『勇者』が持つ固有スキル。

パーティにいる人数一人に対し、1000ダメージを上乗せする壊れスキルであり、頂上攻撃。上限はなしという、ゲームなら、真っ先に弱体化される技である。


現在此処にいるパーティメンバーは、俺を除いた2()6()()のクラスメイトと騎士団を合わせれば35人いる為、35000の威力を持つ斬撃を放つことが出来る。


「ぐっ!?」


ディノバルドも俺が放った銀色の斬撃を受けるのはまずいと悟ったのだろう。

仲間達の攻撃を無視して、避けようとするが


「させない!!」


「逃がすかよ!!」


犬井の鎖付きブーメランと職業に『忍頭』を持つ中村亮介の鎖鎌がディノバルドの巨体に巻き付く。


「魔王なんだから、ちゃんと勇者の攻撃を受けろよ」


「魔王様、雑魚・・・・中級職『バトルクラフト』である俺にやられる。今の気持ちを教えてくださいよ」


「雑魚共が!!」


悪態をつくディノバルドを銀色の斬撃が真っ二つにする。ディノバルドの巨体が音を立てて大理石の床に倒れる。その様子に俺が呆然とした表情で呟く。


「・・・倒した。倒したよな」


その呟きに、クラスメイトたちもカチドキの声を上げる。


「勝った!!勝ったぞ!!」


「やった!!コレで日本に帰れる!!」


長かった。本当に長かった。

そんな感動に打ち拉がれる中、俺もガッツボーズして、日本へ帰る為に必要な『ある称号』を確認すべく、自分に『生命眼』を向け・・・・絶望した。なぜなら・・・・


「・・・・なんで?」


固体名:天上院 夜一

職業:勇者

職業レベル:100(カンスト)

種族:人間

種族レベル:80

HP:330/1000

MP:15/1000

ST:520/1000

物理攻撃値:1000

物理防御値:1000

魔法攻撃値:1000

魔法防御値:1000

敏捷値:1000


装備:聖剣、天鎧、超人の指輪

スキル:『生命眼』,『救世剣』,『天盾』,『審判剣』,『封殺剣』,『疾風』,『竜穿』,『不屈の闘志』,『全魔法耐性』,『基本属性魔法適性』,『全魔法耐性 』

称号:なし


そう。魔王との戦闘前よりレベルが上がっているが、肝心の物・・・・日本に帰る為の―――


「なんで、『称号』がないんだよ!!」


俺の叫びに浮かれていた仲間達も戸惑った表情を浮かべる。


「どういうこと?」


「王様の話だと、魔王を倒せば日本に帰る為の称号が手に入るはずだろ!!」


そんな戸惑う俺たちを嘲笑うように


「そんなの魔王である僕をまだ倒してないからに決まってるじゃないか」


前方から声が掛かる。

さっきまで空席だった玉座に銀髪の優男風の美少年が可笑しそうに笑いかける。


「・・・君は一体----」


「初めまして。僕が真なる()()()()()()()()だ。よろしくね。勇者一行」


「・・・・え」


「嘘だ!!俺の『生命眼』を使ってみていた!!間違いなく、コイツが魔王のはずだ!!」


その言葉に俺は戸惑った声を上げ、ずっと生命瞳が使っていた犬井が叫ぶ。

魔王ディノバルトと自称する男が叫ぶ。

俺も確認した。

今倒れている巨漢が魔王ディノバルトであることを。


「あぁ、それはね」


男が手から青い火球を放ち、ディノバルドが身に着けていた腕輪を破壊する。


「・・・・・『魔王の傀儡人形ゴートン』」


「その腕輪は『虎の威』という腕輪でね。僕の影武者を創る為に開発した魔道具なんだ」


カラカラ笑う真の魔王『ディノバルト』が指を鳴らす。

すると備品として飾られていた鎧たちが一人でに動き始め、自慢の武器を構える。


「さぁ、ラウンド2だ。最も、ゴートン一体でこんなに苦戦していた君たちに勝ち目なんかないけどね」


そんな嘲笑に答えるように、金属鎧で覆われた巨漢の偽魔王『ゴートン』と同じ個体が2体になって、天井から降り立ち、魔王ディノバルトを守るように立つ。


「・・・・僕は魔王『ディノバルト』。超古代文明『ゼノビア』、その王の血を色濃く受け継いだ僕が、異世界から来た外来種ごときに負けるわけがないだろう」


生命力も魔力も底が付き欠けている俺たちに、魔王『ディノバルト』が嘲笑を浮かべた。



備考

スキル:備わった職業や種族のレベルを上げて、発現する能力で、魔法はそこから引き出される。

称号:何かを成したことで発現されるもの。

例えば、単独で魔物を1000体倒す。不眠不休で10日戦い続けるなどといった超人じみた偉業を達成して初めて与えられる。

世界に不幸をばら撒く者(=この場合だと魔王)の命を刈り取ったもこれに該当し、称号が与えられる。

入所難易度が困難な分、スキルと破格な能力を宿している。

2年C組は、その称号を使って故郷へ帰る。その目的の為に魔王『ディノバルト』の討伐を目指していた。


次回は敗走とそこから始めるクラス崩壊を書いていきたいと思います。

では、次回もお楽しみください。


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