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放浪者-9 『深まる謎』

はい。

女王戦、最終パートです

上限を達してしまった俺は、無意味な殺戮を繰り返し、ついに欲しかった物を手に入れたそれは――――――


「よう。女王様。とうとう此処まで来たぜ」


長った。本当に長った。

俺は両隣に控えた騎士を一瞥した後、相対するように立つ、女王アレクシアと最後の1体として控える騎士を睨み付ける。

普通の蜂もまだ飛んでいるが、そんなものは物の数には入らない。


「行け!下僕共!!」


人生で一回は行ってみたいセリフの言い放つと、2体の騎士は自分の母親であるアレクシアに襲い掛かる。

それを最後までアレクシアを守っていた騎士が両手に持った2本の槍で防ぐ。

よし。両手が塞がった。

俺はその隙を突くように、ウォーター・カッターを放つ。

狙うは、勿論、女王様と騎士。

騎士の胸部を精神付与付きのウォーター・カッターが撃ち抜き、そのまま、女王アリシアの左腕も撃ち抜く。


「さぁ、どうなる?」


騎士の魔石の位置は分かっていた為、速攻で決着を付ける。

騎士の体がぐらりと傾き、よし、もらっ――――――。

此処で倒れる敵騎士の頭部の後ろで何かが光る。

悪寒を感じた俺は、地面を蹴って思わず右に避けると

敵騎士の頭部が眩い光線に消滅し、すかさず俺の右側頭部を破壊する。

俺のHPが一気に4まで低下する。

あ、あぶねー。咄嗟に避けたから、いいものをコイツが騎士の死体をブラインドにして攻撃したことに気付かなかったら、完全に終わっていた。


「・・・・だが、コレで終わりだ!!」


地面に倒れる俺の視界に、俺の騎士2体がアレクシアに突きを突き出そうとした瞬間、頭部を失った騎士が俺の騎士2体の体にしがみ付いて、アレクシアの攻撃を防ぐ。


「な、魔石を撃ち抜いたのに、まだ動けるのか!!」


自分の母親でもアレクシアを死んでも守ろうと騎士の執念に戦慄する俺を他所に、アレクシアが眩い金色の鱗粉をスカート下から噴き出す。


「あれは・・・・」


スキル蘭にあった『鱗粉』だろうか。

俺は、スキル『世界眼』でその能力を知り、残りすべてのMPを足裏に内蔵したジェット・ウォーターに注いで後方へと逃げる。

同時にアレクシアごと巨大な粉塵爆発が引き起こされる。


スキル『鱗粉』

効果:自分の可燃性の高い鱗粉を振りまくことで、粉塵爆発を引き起こす。


爆風に巻き込まれて、俺の体が後方にバウンドし、硬い壁に体を打ち付ける。

痛くはないけど、今ので、HPが2削れて残りHPが2になる。


「・・・・これで、自身の攻撃なので、爆発は無効だったら完全に詰んだな」


まさかの自爆攻撃をギリギリ躱した俺の視界に、自身の爆発でいろんな箇所が罅割れたアレクシアが現れる。


固体名 『アレクシア』

種族 ホーネット・クイーンLV100

魔石ランク:S-

ステータス

 HP:14/10000

 MP:0/9000

ST:400/9000

物理攻撃値:1000

 物理防御値:8000

 魔法攻撃値:15000

 魔法防御値:8000

 敏捷値:13000

状態異常:『燃焼(強)』

スキル

 『夜目』『飛行』『ポイズン(強)』『毒無効』『毒物合成』『毒魔法(上級)』『HP自動回復』『MP自動回復』『邪眼』『鱗粉』『上級狙撃術』『産卵』『回復魔法(上級)』『指揮術(上級)』


どうやら、俺の杞憂だったらしい。

自爆紛いの大技で俺ごと寝返った騎士たちを討つとは、流石は女王だな。

だが・・・・・・


「MPも尽き、『燃焼(強)』で僅かなHPも削れている。お前の負けだ」


MPが付き、ウォーター・カッターとウォーター・ジェットが使えなくなった俺は、止めを刺すべく、お姫様座りでその場に座り込むアレクシアへと近づく。


「こういう自爆攻撃までして戦い抜いた相手にトドメを刺す時って、『最後に言い残すことはあるか?』って聞くのがお決まりだけど、魔物に言っても無駄だよな」


長い死闘を終え浮足立っていた俺は冗談を零しながら、右手の長爪を構えたその時


「・・・・・・お見事です。()()()()()人から魔物になった者よ」


「え・・・・」


本来言葉を発せないはずの魔物からの言葉に、俺は硬直する。

そんな俺が可笑しかったのかアレクシアは、クスっと笑みを浮かべる。


「・・・・・・・」


「おい!?お前、まさか―――――」


俺の質問には答えず、アレクシアは瞳を閉じる。

そして、状態異常『燃焼(強)』の効果でアレクシアのHPが0になり、地面に倒れ込んだ。


「・・・・どういうことだよ。まさか、俺以外の廃棄魔物だったのか?」


いや、もし廃棄魔物なら、称号『ネロ・クラウディウス』がない限り魔石を持っていないはずだ。

じゃぁ、魔王以外の奴に作り替えられたというのか。

だが、一体誰がそんなことを―――――。

此処は、只の廃棄魔物の墓場ではなかったのか?

アレクシアの言葉に困惑する俺の脳内に


<単体で1000体以上の魔物を討伐したことを確認>

<単体で7日以上魔物との激闘を繰り広げたことを確認>

<上記2項を同時にやり遂げたことにより、固体名・犬井巧は称号『呂布奉先』を獲得しました>

<称号『呂布奉先』の獲得により、固体名・犬井巧は『黄巾力士』に進化可能になりました>

新しい称号とそれに伴った進化先の提示が知らせる。

だが、今の俺にはどうでもよかった。

そして、アレクシアを倒した褒美だとばかりに、俺の前方にあった壁が動き出す。


「・・・・んだよ。それ」


地下へと続く階段が現れる。


「知りたければ、奥に進めってか?」


そんな疑問に階段が答えるわけもなく、俺は呆然と突然現れた階段を只々呆然と眺めた。


感想と評価をくれると嬉しくてやる気が出ます!!

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