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勇者-3 『裏切りと対応』

久しぶりの勇者パートです

アガルス王王国の王城—--玉座の間で回りの貴族たちが騒然とする中


「・・・今の話は真なのか?姪殿」


アガルス王国の国王であるハイド・フォン・アガルスが困惑した表情で、勇者パーティの情報担当である磯田姪に問いかける。


「はい。行方不明になっていた勇者パーティーである甲斐大介と堀直弘の2名が魔王軍に寝帰り、残りのメンバーである林光里と南光成、河野祐一郎は、捕縛されたのをこの目で確認しました」


「クソ」


「甲斐と堀の野郎!!」


一緒に戦ってきた仲間の裏切りに、一緒に報告を聞いていたクラスメイトたちが悪態をつく。

そんな彼らを一瞥し、姪がいつものフザケタ口調ではなく、真剣な表情で報告を続ける。


「甲斐は戦力と私たち・・・人類側の情報、堀は捕まった林と南の身柄を提供することで魔王軍に迎えられました」


「なんてことを!!」


「アイツ等!!」


ハイドと貴族たち、そしてクラスメイトが困惑する中、姪に白波刹羅が不安げな表情で問いかける。


「姪ちゃん。私たちを逃がす為に殿を務めた犬井くんは、あの後どうなったの?」


「そ、それは・・・・」


友達から質問に姪は、言いよどむ。

この態度に改めて犬井は、もうこの世にはいないことが分かり、刹羅の瞳から涙が零れる。


「・・・・・魔王軍の兵士たちの雑談を盗み聞きしただけで、直接確認したわけじゃないけど、犬井は魔物にされた後、魔石を抜き取られて谷底へ堕とされたらしい」


「そ、そんな」


「刹羅!」


あまりの凄惨な殺され方に、刹羅の体がよろけ、彼女の親友である楠木真由美がその小さく華奢な体を受け止める。

そんな彼女の様子を悲し気に一瞥した後、ハイドが大きく深呼吸して気持ちを切り替える。


「元勇者パーティ甲斐大介、堀直弘の持つ権限を剥奪!!以降、この2名を人類の敵として、第1級犯罪者として認定する!!」


『はっ!?』


「裏切り者、甲斐と堀の密告から、防衛体制を見直す必要がある!!至急、『各地に散らばる勇者パーティ』を招集せよ!!」


『了解!!』


貴族や夜一たちは、それに答えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「・・・・あの日来たのは全員じゃない?」


魔王城---玉座の間で魔王ディノバルトは新たに幹部に迎えられた甲斐に問いかける。


「はい。私たちの職業は全員が戦闘職ではありませんし、仮に戦闘職だとしても拠点防衛が得意な者や海上戦が得意な者は、国境である砦の警備をしているんです。私たちを調べてきた磯部がその最たる例です」


「なるほどね。適材適所ってわけか?」


「ま、前衛職の癖に、人や魔物と戦う事にビビって城に籠っているだけの奴もいますけどね」


「はは、何処の陣営にも無能っているもんなんだね」


ディノバルトがケラケラと笑いながら、海の向こう側に逃げた勇者たちに思いをはせる。


「生まれて初めての敗走だけでなく、裏切りと捕縛と死亡。きっと人類側はてんてこ舞いだろうね」


その言葉に甲斐が待ったをかける。


「いえ、裏切りに関しては、初めてではありませんよ」


「ん?どういうことだい?」


「俺たち勇者パーティの中には、転移早々、自分に発現した力に酔ったり、勇者である夜一を逆恨みしてパーティ自体を離脱して欲望の限りを尽くす奴も何人かいましたからね」


「人間というのは、愚かだね」


「当然、討伐隊を差し向けようと王国側から追手を出すのですが、腐ってもチート。逆に返り討ちに会って結局逃げられていましたよ」


「おや、君たち自ら討伐しなかったのかい?」


「流石に、同郷であるクラスメイトをその手で討つのには抵抗があったんですうよ。誰かさんと違ってね」


「俺の事を言ってんのかよ。甲斐」


「他に誰がいるんだよ。林と南を土産に取り入った癖に」


「仲間の情報をペラペラしゃべるテメーも人のこと言えないだろうが」


赤く染めた長髪の青年---堀直弘が舌打ち交じりで玉座の間に入室し、甲斐と睨み合う。


「まぁまぁ、これから共に人類と戦うんだ。仲良くやろうじゃないか」


「そうだな。よろしくな。魔王様、クラス最初の裏切りさん」


「あぁ、改めてよろしくな。弱い者しか手を上げない屑野郎」


悪態を付きながら睨み合う二人に、ディノバルトは楽し気に笑みを浮かべた。


つたないですが、レビューや評価してくれれば、投稿頻度や文章量も増やす予定です。

一応、最後まで続けられるように頑張ります!!

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