「最近、彼の様子が変わった気がする」③
なんだか上手くまとめられませんでした。頭が飽和していく
「最近、彼の様子が変わった気がする」③
もう一つの疑問、それは 「なぜ、彼女は無力化されているのか」
彼女がscpだと知った時に感じた違和感はこれだった。本来、甚大なミーム汚染を起こすscpのはず。なのに、俺は彼女による影響を受けていなかった。自分が特異な体質というわけでもないはずだ。なら、彼女自身に「変化」が起きたと推察するのが妥当だろう。だが、それでも不思議だ。Euclidクラスのscpが急にNeutralizedクラスになってしまうなんてことがあるのだろうか。(リンゴ?シランナ。)彼女を無力化させてしまうほどの事象…一体どんなものなのだろうか。俺はすぐに聞いてみることにした。
「なぁ、その…そこのねこさんはもともとSCPだったんだろ?しかもかなりのミーム持ち。そんな彼女がどうしてまた無力化しちまったんだ・・・?」
その問いに彼は反応したかと思えば、そのまま何も話さなくなってしまった。そして、なぜか耳まで顔が赤くなっている。まったく、一体何があったというのか。
「なぁ、急にどうしたんだ?何かやましいことがあるわけでもないんだし、話してみてくれよ」
「なっ、や、やましいことなんて…。やましい……。」そのまま、まただんまり。
これじゃ何もわからないと思ったが、その時ふと「あるもの」の存在が浮かんだ。
俺はそれをすぐに確認することにした。が、その前に俺は腹が空いてきていたことを思い出し、オーナーであるねこさんを呼んだ。
「すみません。彼と同じものをお願いします。」
彼女は「かしこまりました。少々おまちください。」といってその場から去っていった。
そして、俺は「あるもの」を探すために持ってきていたタブレット端末を簡易キーボードに差し込み作業を行った。そして、財団のデータベースにアクセスし、それを探した。少しばかりスクロールしていると、それらしきものが見つかった。俺はその「報告書」を開いた。
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SCP-040-jp オブジェクトクラス: Neutralized
中略
20××/×/××に発生した事件により、当SCPは無力化されました。
自身を見た者を、その大きな瞳と妖しい視線で見つめ続けその能力で数多の生物を苦しめてきました。
ですが、今の当SCPはとある青年だけを見つめ、また、とある青年だけに見つめられることを幸福としており、それを実感した結果無力化されたと考えられます。
現在は財団日本支部サイト-○○のコンテナでレストランを経営する形で財団職員として雇用されています。
ねこはもういません。れすとらんにいます。よろしくおねがいします。
以上
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たったこれだけ。これだけの文章だが、その数十文字だけで察した。理解したような気がした。
彼女は「愛」というものに触れた。「愛」という計測不能のミームに汚染されてしまったのだ。そして、そのミームの「元凶」が彼、というわけか。
「ふっ」と思わず笑みがこぼれそうになった。こんなにも幸せなミームが存在していたのか、と感じたためだろうか。
そんな考え事をしていたら、後ろから視線を感じた。いやな予感はしたが、後ろのほうを見てみる。
案の定、2人が見ていた。これはまずいと思いつつも、もう何もできなかった。おとなしく2人同時のお叱りを受けた。
数分後…
俺「要するに、お前(彼)はこのねこさんに惚れて、またねこさんも惚れてねこさん自体のミームが消滅したと…」
彼「そういうことになるな…」
ねこさん「は、はい…」
二人とも真っ赤だった。それが引き金となったのか、俺は思わず笑ってしまった。
彼「何がおかしいんだよ」
俺「スマンw…ただなぁ、ホントに何が起こるかわかんないな。なんてったって、scpが擬人化するわ、無力化してしまうわ…。ほんと面白いよ。」
2人「・・・・・・・・・・・・・・・」
俺「でも、案外そういうのも悪くないかもな。」
彼「…お前はどうしてそう思うんだ?」
俺「うーん。お前、前よりも笑うようになってるぞ。」
彼「…?」
俺「前まではな、仕事中どこか退屈そうに見えたんだ。お前。ただ、あの実験を終えたあたりからなんか毎日ニヤニヤしだしてたな」
彼「ニヤニヤって…」
俺「そう、それも時々気味悪く感じるくらいな」 彼「おい」
ねこさんが一瞬だが彼の方を見ているような気がした。
俺「ただな、なんだか幸せそうな表情もあったぞ。あんな表情を見たことがなかったから驚いたよ。これもねこさんのおかげだったてわけだな」
彼「そう…だったのか」
俺「ほんでどうだ。ねこさんといるときは幸せか?」
彼「あ、ああもちろんだ。」
俺「本当かぁ?」
彼「当たり前だろ!こんなにいい子が俺のそばにいてくれて、幸せじゃないわけないだろう⁉」
ボンッとどこかで音が聞こえてきた。音の発生源の様子を見て俺は思わずにやけてしまった。
俺「なら良かった。ただ、お前はねこさんの本来持っている力を消してしまったわけだからしっかり責任もてよ」
彼「わかってるよ!そんなこと。」
俺「もし、ねこさんを泣かせようものならただじゃおかないからな?」
彼「しないから!ねこさんは絶対に悲しませてたまるか!」
どうやら、彼のねこさんへの愛は本物だ。厨房にいるねこさんがずっと赤面しているほど。
そんな話をしつつ、俺は料理を待つことにした。
続く
3話完結予定でしたが、1話1話の体力消費が多いのでまだ続きます。