モジカの喪失
はてさて、さいかーい。
そうして、昨日はこんなモジカ、今日はあんなモジカと、博士好みのモジカに、新しく、入れ替えられていきました。
モジカがシリーズⅫまで出てきたころ、ついに我慢の限界を迎えたヒトがいました。
イェットです。
「ニルアドミラリ博士、こう、連日の依頼はいいんだけどさ、もらえるもんもらわないと、困るぜ?」
「すまないイェット……。仕事が片付いたら、必ずまとめて払うから! ところで今日は、こう、指を繊細にして……」
「はあ〜あ! 博士、わかったよ! 作っといてやるから! ……ところでな、博士」
イェットは、急に真面目な顔になりました。
「……その仕事、文字の精霊に関することじゃないのか?」
ぎくり。どきり。
文字の精霊が、擬音となり、博士の背景に浮かびます。
「おっと、目が泳いでるな? 博士は噂にゃ疎そうだけどな、文字の精霊が悪さしてるって、評判だぜ? それに……。」
どうも、キナ臭いんだよ、最近。
イェットは、そっと、博士の耳元で囁きます。
文字の精霊たちは、きゃあ! 恋敵登場⁉︎と、勝手に盛り上がるのでした。
一方、その頃。
モジカは、自分が一体何者なのか、アイデンティティを見失ってました。
「あたしは、モジカ……。文字の精霊、モジカ。博士を愛している……?」
でもでもこれは、博士の望み。
仕方のない、ことなのです!
中身のモジカ? はてさて、同じモジカになっているのでしょうか。
博士の髪の毛は、三分の一ほど、白くなっていました。
どうなることやら…?