モジカ・II
恋って
どんな……
月の神が照らす居室の中で、ニルアドミラリ博士の、土器でドキドキ大作戦! が、始まろうとしていました。
「さあモジカ、ここに入ってくれないか!」
文字の精霊達は、まあ、土器なら粘土だからアリだよね、と目配せします。
モジカはなんだか、もやもやします。
この顔と体では、満たされないの?
あなたの理想の、具現化ではないの?
土器の紋様で、少し古代を意識しながらも、今風の流行を取り入れ、古臭くなく、新しさを感じさせる髪型は、その類稀なるセンスと、博士のこだわりが出ています。
でも、でも、モジカはもやもやするのです。
「さあ、モジカ! 土器の方が、容器のカタチが〜〜〜っ!」
博士が、何か早口で喋っているのを、ぼんやり眺めながら、モジカはゆっくりとうなずきました。
文字の精霊達が、集まります。
からん。
白い光がまばゆく膨らみ、モジカのいた場所には、ねんどろんこが転がってました。
側には、逆巻く紋様のような、美しい髪をした女性が立っています。
ニルアドミラリ博士の欲望という名の粘土が、文字の精霊を操ったのです。
「フフフ、ハハハハハ! 理想の、偶像土器女性像だ!」
月の光の下、博士の髪の毛には、ほんのりと白いものが混じっていました。
……ものかしら?