ドキで土器土器
力を抜いて〜、吸って〜吐いて〜。
一方、その頃。
「三つの太陽の王である陛下、質問調査の結果、これ、このように……」
「むうん! やはり、そうか……。ニルアドミラリよ。お前の先代、老博士は、我が父の不興を買い、閑職に追われたと聞く。文字の精霊なるものが存在し、人間に禍をもたらすのだ、と報告したのが原因だとか」
「存じております」
「儂も、文字の精霊など、信じてはおらぬ。……どうも、これは、人間が文字を作り出したことで生まれた、新しい害に違いない」
「……国王陛下、文字の精霊は、いや、文字の害、どのように対処すべきか、もう暫くお待ちください」
「何か、手立てはあるのか?」
「眼が悪くなる者は、私のように、日頃から粘土板をよく読む者でしょう。明るいところと暗いところで読む時は、疲れ方が違います。まずは、二つ目の太陽神のお力のある内に読むことを定めましょう。また、一気にたくさん読むと、眼が乾きます。休憩を挟むことを提案します」
「なるほど。では、粘土板を作る職人、石を砕く職人、ミイラを作る者達も、必要だろうな。ずっと明るい場所で作業できる者ばかりではないが、休憩を取らせよう」
「承りました」
と、こんな具合に、昼の明るい時に休憩を取ってお仕事をすることに決まりました。
「ところでお前は……いや、いい。新しい取り組みを行ってから聞くことにしよう。お前も、月の神の下、粘土板を読むのは止めるように」
「……!! うっ、承りまして!」
粘土釘をザクッと刺されたニルアドミラリ博士なのでした。
「ふう、粘土板、か。粘土板に書かれた、文字を見て、ドキドキするあの気持ち。ねんどろんこにも、そして、モジカにも感じたような……?」
ドキ……ドキ……土器……土器?
土器!
「そうだ! 土器だ! つまり、粘土で、文字で、ドキドキの土器なんだ!」
ニルアドミラリ博士は、何か閃いたのです。
吐いて〜、吸って〜。
土器のパワーを感じて〜。