文字の精霊
ノープロットタイプの、ゆっくり更新です。
むかしのむかしのそのむかし。
ヒトが、文字を作り出したころ、文字の精霊がおりました。
かれらはヒトに彫られ、刻まれ、なぞられ、読まれるたびに、ヒトの大事な部分を少しもらって、それを食べて生きていました。
ものを見る力、真っ直ぐに背すじを伸ばす力、首をなめらかに動かす力、肩をこわばらずに上下する力などなど。
ひょいぱく、むしゃむしゃ、ぱっくんぱっくん。
「あれれれ? ちょっと食べ過ぎたかなぁ」
文字の精霊は思います。
文字の精霊の美味しいご飯になったヒトは、あっという間に、衰えてしまうのでした。
そのかわり、文字の精霊は、ヒトに贈り物をしました。
そう、文字をいろんなヒトが触れて、読んで、楽しんで、ヒト同士で知識を分けること。
そうして、ヒトが文字を作り、もっともっと、文字を愛で、その文字の精霊達が、もっともっともっと、たくさんのヒトを集めます。
「やったー! ヒト集め成功! 今日はお祭りだね!」
文字の精霊達は、そうして集まった美味しいヒトの力を、精霊達で美味しくいただくのでした。
むうん。文字の精霊はがんばります!
「文字を作って もじもじしよう♪
文字を彫って もじもじしよう♪
文字を魅せて もじもじしよう♪
にゃあにゃあ しましまに しまっしま♪」
なんと、たくさんの、その地域特有の言葉が、生まれてきます。
方言っていうらしいです。
そんなある日。
文字の研究第一人者、ニルアドミラリ博士が、とうとう文字の秘密に辿り着きました。