怪しい男
目覚めて数年、私はカレンダーなんて捨てて日付を数えるのも辞めていた
しかしそんな時にいきなり開くはずのなかった扉は開かれた
「どうも、LOST新聞社です」
怪しげもあるだるそうな一声と共に、シワだらけのカッターシャツにヨレヨレの赤いネクタイ、そしてその服装に似合わない綺麗なベージュのトレンチコートを着た40代になったくらいであろう中年の男性が入って来た
私が唐突の事に何から話していいのか分からず混乱していると先にその男が口を開く
「君が監禁の被害者…うん、間違いないね
端的に言おう、僕は監禁されている少年がいるというタレコミがあって君を助けに来た」
私は自分の聞きたいことを聞いているとキリがないと諦め、直面している現実と向き合う
「なるほど、監禁されている私を助け出して自らの新聞社の宣伝をするのと同時に陰謀という美味しいネタを手に入れようって言う魂胆か」
男は少し驚きながら感嘆して適当に手を叩く
「おっ、飲み込みが早くて助かるね
そういう事だ、君に選択肢は無いよ行こう」
私はその男と共に何年ぶりかもわからない外へと出る
外は雨が降っており、急いで家の前に止めてある男の車へと乗り込む