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【連載版】死にたがりの悪役令嬢はバッドエンドを突き進む。  作者: 采火
番外

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キスをするまで出られない部屋 (side.スーエレン)

Twitterに載せたSSです。

「は?」


 突然目の前に現れた一枚の紙。

 そして見慣れない部屋。

 どこだろうここ、と見渡して見つけたのは、同じように驚いた顔で立っている私の旦那様。


「エルバート様、ここは……」

「どこだろうね。気がついたらここにいたんだけれど」


 エルバート様も同じかぁ。

 うーんと首を傾げつつ、手元にある紙をもう一度見る。


『キスをするまで出られない部屋』


 うん、わけがわからない。

 でもあれみたいだよね、前世でよくSNSとかで話題に上がっていた『○○しないと出られない部屋』的な。

 ……え、本当にあの部屋?

 え、嘘でしょう!? なんでこんなことに!?

 えっ、えっ、私だって今までエルバート様と寝てたよね? 二人でいつものように寝てたよね?

 それがなぜこんなところにいるわけ!?

 ……ハッ、違う! これ夢っ? 明晰夢ってやつ? だからこんな前世でのあるあるネタみたいな展開になっているの!?

 と、いうことは。

 これは夢から覚めるまで待てば良いということでは……!?


「うーん、夢にしてはとてつもなく現実感があるね?」

「ひゃっ、エルバート様……っ」


 エルバート様が私を抱きしめて、あちこちに触れる。

 髪、頬、首、肩、腕……はいいけど、その後の手つきがいやらしいのはどうしてですか!?


「エルバート様、やめて、こんなところで恥ずかしい……っ」

「ああ、ごめん。あんまりにもエレがエレらしくて……色も、感触も、匂いも、全部ちゃんとエレのもの……ふふ、なんて幸せな夢だろうね?」


 あ、やばい。駄目だ、これは早々にこの部屋から出ないといけない気がする。

 そうじゃないと私の体が、夢の中でもエルバート様に貪られてしまう……!

 うっうっ、これは早急に、エルバート様に頂きますをされてしまう前に、部屋から出なければなるまい……!

 そしてあるあるネタのセオリー通りなら、例えこれが夢でも、部屋から出るまで夢は覚めない気がする……!

 さぁ、落ち着くのです私。

 私なら試練の一つや二つ、簡単に乗り越えられる。

 現実のバッドエンド回避をこなして見せた私なら、この紙にある指令なんておちゃのこさいさいよ!

 この紙に書いてある指令はえーと、なんだっけ。

 私はもう一度、手の中にある紙を見る。

 そこに書かれている文字を読む。


『キスをするまで出られない部屋』


 キスを表現……? え、つまり、私は、旦那様とキスをしないといけないということで……。

 ……えー。


「む、むり……」

「何がだい?」

「ひぇっ」


 エルバート様が私の手の中にある紙を覗きこんできた!

 エルバート様、後ろからの不意打ち卑怯!


「どうしたの、エレ? これは?」

「えっと、拾ったんですけど……」


 ですけどぉ……。

 エルバート様が紙を一瞥して「……そういうことか」と呟くと、私の手から紙を取り上げた。


「えっ? エルバート様っ?」

「ほらエレ、こっちを向いて」


 エルバート様が私の体をくるっと回転させて、自分と対面させる。

 しかも、私の顎に指をかけてくいっと持ち上げてきた。

 あああっ、エルバート様のお顔が近いぃぃぃっ!


「え、エルバート様……っ」

「エレ、黙って」


 エルバート様がそう囁いて、私の唇を塞ぐ。

 さらりと銀糸の髪が私の顔に落ちてきて、私は目をつむる。

 エルバート様の唇は濡れていた。

 唇からの体温に蕩けそうになっていると、湿ったモノで唇をノックされる。


「ふぁ……っ」

「はぁ……エレ、可愛い」


 くすりと笑ったエルバート様を受け入れるように少しだけ唇を開けば、エルバート様が熱い吐息をこぼしながら下唇を啄んだ。

 あああ、エルバート様にお口が食べられてしまう……!?

 でも食まれている唇の感触が気持ちよくて、体から力が抜けていく。

 ぎゅ、とエルバート様の胸元にしがみつくと、逞しい腕が私の腰に絡みついた。


「エレ、エレ。可愛いエレ。君を愛しているよ」


 息継ぎの合間に落としてくれる愛の囁き。

 もっとその声が聞きたくて耳をすませば、だんだんと愛の囁きは、淫靡さを増していく。

 食まれていた唇が一度離れて、またくっついて。

 誘うように口を開けば、エルバート様の熱い舌が口腔を蹂躙しようと侵入してくる。

 ―――そこで私はハッと我に帰った。


「食べちゃ駄目ぇぇぇ」

「え? おあずけなんていけずなこと、させないよ?」


 うっかり流されちゃったけど! でも駄目! まだ駄目!

 人が見てる、見てるからぁぁぁぁ!

 これ! 部屋が開けるってことは誰かが部屋の鍵を開けてくれるってことじゃないの!?

 そ、それなのにこのまま押し倒されちゃったら大事故にも程があるじゃないの……!

 身体を離そうと、エルバート様の厚い胸を押し退けようとする。

 ちらと視線を上げれば、雄の欲を孕んだエルバート様の瞳とかち合って、私を望んでいるのがひしひしと伝わってきた。

 待って、ほんと待って、エルバート様。

 お願いだから我慢してほしいんですが……!


「エル、バート様、ここは、ちょっと、あの、もう、扉……っ」

「うん、大丈夫だから」


 何がですか!?

 そう言ってる間にも、エルバート様は舌を絡めてきて……って。

 もぉぉぉ! エルバート様、自重してぇぇぇ!






 カチャ。(解錠音)

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