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seize  作者: カネミズ
6/21

5.

5

『ぱちり』と目を覚ます。

窓の外の電柱から家にのびている電線に、スズメが二羽ぴょんぴょんとダンスをするように同じ動きで左右へステップを踏んでいる。時刻は朝の五時。だんだんと陽が早くなって生きている。おそらく昨日カーテンを閉め忘れたのか、開ききったままだった。ベットから起き上がると、二羽のスズメはどこかへ飛び立ってしまった。

 すぐさまジョギングジャージに着替えて、腕のストレッチしたまま階段を降りていく。

早朝ランニング、見渡すと三百六十度ある山々たちの輪郭がうすぼんやりと青く現れ始める。荒い息をあげながら、二、三キロ走ることを心掛けている。毎日同じコースを走るのも苦なので、いくつかコースを用意し、その日の体調に合わせコースを選ぶ。朝は比較的に交通量も少なく、いたとしても犬と散歩している歩行者くらいだ。家に戻り、じんわり掻いた汗をシャワーでも浴びて流した。特に今日は用事もなく、土日なので再びベットへダイブし、瞼を閉ざした。



貴衣に破れかけの入部届を渡されてすでに何週間か経過した。愛貴は今でも高校に通い、家に戻り、学校へ戻るというメビウスの輪のような生活を繰り返す。

すでに四月の中旬、そろそろ新入生は部活に入る季節だろう。貴衣はもうすでに女子バスケ部に入部した。毎朝、楽しい楽しいと、まるでテーマパークに行ったかのようなはしゃぎようを自転車に乗りながら見せてくる。

そして毎日のように、優希からの勧誘の日々が続いた。そんな生活も一か月続きもう慣れてきた。国安だけが卓球部へ入部。同じく弦矢も卓球部へ入部したらしい。それからまた二週間ほどすぎて、月がかわり五月に。



まどろみの夢の中。暗闇の奥から聞こえる小さな着信音。そこからだんだんと音が正確にはっきりと色身を帯びてくる。再び着信音が鳴り響き同時に瞼を強制的に開けられる。

着信音は机の上に置いてある携帯から鳴り響いていた。しかし優しい暖かさをもった魔法の布団がなかなか体を起こそうとしない。そして再び瞼を閉じようとした時、着信音が叫ぶように耳の鼓膜を揺らす。

「ああ~、もう分かった分かった」

布団という名の鎖を断ち切り、ベットから起き上がる。

机の上には携帯画面に着信を知らせる通知が何度も並べられている。携帯を片手で持ち上げ体に染みついているかのように慣れた手つきでパスワードコードを打ち込む。

連絡してきたのは見たことがない相手からだった。アイコンから察するに男ではあるが、名前部分が『Y・K』と表示されている。

Y・K?誰だ?

しかし、そのメール内容で誰だかは一瞬で分かった。

『悪い!お前の連絡先、貴衣から聞いた!』

朝からのハイテンションがメールからもギンギンと伝わってくる。

Y・K。優希・国安。つまり国安優希というわけだ。

メールの内容は用事を単刀直入に伝えられていた。

『頼む!先輩がラケットなくして、これなくなった!助太刀頼む!』

俺は無視した。

『頼む!これじゃ俺、栗田監督に怒られる!卓球やれるやつ知ってます!って勢いよく言っちゃったよ!練習試合は九時に開始!』

無視。

『はいはい、わかりましたよ。愛貴は僕たちに外周を五十周もやらせる気なんだね・・・』

はぁ~~~。

『おけ。分かった行く。つか、入部してない俺が行って大丈夫なのか?』

l『大丈夫大丈夫!監督にはもう言っておいたから!ユニフォームとラケットはあるから、まず来てくれたらいいから!あ、でもラケットとゼッケン、体操着があったらついでに持ってきて。』

注文が多いな。そして自己中なやつ。

『試合は九時からだから、それまでには学校へカモン!』

内心は行きたくなかった。でも学校でねちねち文句を言われながら國安についてこられるのも癪だったので、学校の体育着を着て久しぶりに見るラケットケースとシューズを持ち、高校へと向かった。スマホの画面は七時半をさしている。


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