scrum30『禁断を追え①』
「この前クラスをこっそり見てた時に」
「クリムゾン感情の感染が無かったんです」
「先生が止めてるんですよね?」
「はい。」
「ただ誤解してほしくないのは、別に隠していたわけではないということです」
「…」
「私の達成『話術』は薙紫君のに似ています」
「『感情紫紅』は情報から相手を洗脳する」
「『話術』は言葉から相手を洗脳する」
「だから同じ人間に同時に使えるんです」
「でも薙紫君の力ではクリムゾン感情の言語感染を止められない」
「私なら止められます」
「だって言語の形で出てくるんですから」
「いうならば」
「密売される兵器を運ぶ列車を壊す」
「…ような感じです」
ーーーーーー
「…心裏ちゃん、どうしてあんな話を?」
「いや、はっきりしときたくてさ」
「?」
「ほら、うちらは無条件で効かないじゃん?」
「クリムゾン感情」
「それはなんでかなーって」
「クレナイは生い立ちのおかげって言ってた」
「…違うんじゃない?」
「え?」
「だってほら天角学園の生徒ならさ」
「一番弱い1組と3組だって生い立ちは凄いはずよ」
「…まぁ…確かに」
「紅の説明じゃ矛盾する」
「封印能力に何か秘密があるはずなのよ」
「それが暴くことができれば…」
「できれば?」
「紅は社会復帰できるかもしれない」
「!」
「…って言っても」
「そっちより重要なクリムゾン本体の事を無視した場合の話だけど…でも仕方ないじゃん、負荷能力相手じゃあたし達はどうしようもないし」
「私達にできることと言ったら」
「それぐらいしか…」
「心裏ちゃん」
「落ち着いて」
「そんなに焦らなくていいよ」
「これからまだ2年半あるし」
「ゆっくり考えてこ」
「…うん、そうだね」
ー理事長室ー
「…で?何のようかな?薙紫紅君」
「いえ、ただ質問があるだけです」
「何だ?言ってごらんなさい」
「キャサリンはドイツにいますか?」
「!」
「今朝、クリムゾンが発動したんです」
「俺は何があろうと強制的にドイツに行かされるでしょう…でも」
「クリムゾンが外国に発動するのは初めてです」
「ご名答」
「彼女は今墓参りに行っている」
「彼はこの学園だけでなくドイツも好きだった」
「…しかし」
「おかしいな」
「彼女は予定を変更してもう飛行機のはずだ」
「…?」
「…まさか」
「追われているのか?ヴァルキューレ」
「…」
「なるほど今年は激動の年だな…」
「薙紫k」
「…いない…」
「…」
…キャサリンを追う者が現れたのは、
2年ぶりか。
しかしクリムゾンが出るとは…
どういうことだ?