scrum16『燃え上がれ!天角学園体育祭!⑯』
「え、でもあの子自分で落ちこぼれって…」
「ああ」
「『絶対零度』を除けば」
「使える魔法は最低限と呼ばれるやつだけだし」
「魔法は練成を勉強しなくちゃならないから」
「頭の悪いリリーと相性が悪い」
「と、思っていたのは俺たちだけだった」
「?」
「『魔法の才能』でリリーには敵わないと」
「魔女達は皆そう言ったらしい」
「魔女村は世界最高峰の魔法機関なのにな」
「生活指導ファイルだから確実な情報だ」
「…マジ?」
「天才らしいな、あいつは」
「『絶対零度』を覚えたのも3才の頃だとよ」
「⁉︎」
「も、物心つく前から世界を凍結できた⁉︎」
「みたいだ」
「で、概念が何個か無くなってることに気づいた魔女村の魔女達は、才能が爆発し過ぎたら取り返しがつかなくなると判断してリリーをなんとかして魔法文化から遠ざけ…ようとしたが、監視下に置いておかないと危険だったから、『勉強』を放棄させた」
「…両親は理事長が寿命を30年も削らざるを得なかった『最悪の世代』の2人…」
「その才能を受け継いでいる…つまり」
「リリーが本気で理事長が本気でないなら」
「勝ててしまうな」
「…でも勉強から遠ざけてよかったね…」
「変につよくなりすぎるのもよくないもん…」
「って、リリーにはとても言えないけど…」
「それ魔女にも言えないぞ」
「?」
「まだ話には続きがあるんだよ」
「勉強から遠ざけて、リリーは遊び呆けた」
「外で」
「その結果どうなったと思う?」
「…まさか…」
「そう」
「普通は勉強の過程でできないことに気づくものを、気づかなかった。そして、リリーの才能はそれを可能にしてしまった」
「想像上の未来まで凍結できるようになった」
「これはつまり…」
「過去現在未来全てを支配できるようになった」
「ッ⁉︎」
「でしかもそれすら必殺技じゃないみたいだ」
「それを聞いた理事長は飛んできた」
「リリーは大人しくついていったそうだ」
「ま、封印のことは知らなかったらしいがな」
「…」
「そんで、このことでわかったこともある」
「?」
「天角学園は外国バージョンがある」
「えっ」
「いやむしろ天角学園が日本バージョンなんだ」
「考えればすぐわかることだけどな」
「でも理事長は気になる場合外国籍でも回収するらしい…心配性なのかな?」
「えっじゃあさ」
「最悪の世代ファミリーじゃないのに」
「キャサリンちゃんはなんで呼ばれたの?」
「‼︎」
「ん?妾か?」
「…顔に何かついておるのか?」
「あまりじろじろみるでない」




