scrum13『燃え上がれ!天角学園体育祭!⑬』
「無条件に努力を踏みにじれる…?」
「あなたたちも実は感づいてるんでしょ」
「『能力』は才能だって」
「ああ、それはある」
「とてもじゃないが努力では手に入らないからな」
「才能以外にありえんだろ」
「そう」
「で、才能は一生消えない」
「よほどのことがない限り」
「さて、ここで問題です」
「自らの才能が敵に周り」
「よほどのことが起きない程強くなってしまい」
「忙しすぎて何も努力できなかったと」
「ここまで神様に嫌われてる人間が!」
「他にいる⁉︎」
「…いない…」
「あたしは知らない」
「俺も」
「…ふふっなるほどなぁ納得してしまったよ」
「要約すると」
「生きるのに精一杯で」
「嫌な事しかさせてもらえなかったんだな」
「そりゃ強いわけだよ」
ーーーーー
「…クソッ」
「お前は何がしたいんだ薙紫紅!」
「それを選ぶこともやめたよ」
「そう言って同情させるつもりか!」
「ああ」
「同情してくれる奴を、俺はずっと探してる」
「そして、平穏も探してる」
「!」
「…」
「わかったもういい」
「俺とお前は戦うべきではない」
「…」
「ありがとう」
ダッと、
烏丸憂は走り出した。
「…足止めはこんなもんだろ」
あとは種子島に任せた。
「…」
しまった。
まんまと嵌められた。
「あの野郎『時間稼ぎ』を俺から消して…」
「〜!」
「クソッ!やられた!」
ーーー例え失敗してもまた頑張りなさい
はい。
「頑張ります、お父様…」
俺は、負けるべくして負けた。
…と、
俺はあいつに気付かされたのかもしれない…
「そうか、あいつ…戦いたくないのか…」
「斬!」
「!」
「た、種子島軽!」
「…勘違いされがちだが」
「私の名前、しゅしじま!」
「そうか…なんだ!やはり奴は汚いな!」
「…?」
「お前、催眠を受けてるな…」
「足止めさせられてるんだよ!お前は!」
「…はあ?」
「やはり薙紫紅は卑怯者だ!」
「他人の努力を踏みにじるのが嫌だなど!」
「同情してほしいなどと言っておいて!」
「どうやら嘘つきの天才だったらしいな!」
「何勘違いしてる?」
「…え?」
ーーー
「…ん⁉︎あ、あれは!」
「種子島軽と烏丸憂だー!」
「…?」
「なんか手ぇ繋いでね?」
「ああ、多分あれは紅の仕業よ」
「…なんであんなことを…?…」
「…2人を洗脳して協力させれば…」
「…自分の最下位通過は確実なのに…」
「だからじゃない?」
「…?…」
「薙紫紅という人間は時々クズだけど…」
「基本はただの優しい高校生よ」
「努力してる人間に勝ちたくないんでしょ」
「…なるほど…」




