Chapter5『達成使いは夢を見る⑤』
「…夜ご飯まで…ありがとう」
「いいって…気にすんなよ」
彼は、安心、平穏を最も重要とする。
「…で?お前は一体どんな事件の関係者?」
「事件…は知らない」
「…じゃあなんで裸で街を徘徊してた?」
「街を見てみたかったから…」
「はぁ?」
「だから!さっきも言ったじゃない!」
「私は『封印クラス』の生徒!」
「名は『リリー・シエル』!脱走してきた!」
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absoluteZero=crimson
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「言っとくけどそれは信じてない」
「なんで!」
「…俺は自分の能力で色んな悪人にあってきたが」
「被害者に出会うことは絶対に無かった」
「お前が『封印』の束縛から逃れてるだけなら」
「お前はどちらかと言うと被害者ということになる」
『封印』
その名の通り、各年5組の教室内で、
世界を崩壊できるほどの能力者を封印している。
封印手段は『札』『冷凍』など、
5組の生徒でそれぞれ違う。
リリー・シエルは体の刻印を消してきた。
「封印は人権を無視してるらしいからな」
「まあ要するに」
「俺が人生で出会うのは悪人だけだから」
「お前は被害者ヅラした悪人なんだよ」
「…そんなことない」
「私達が出会ったのは能力より強い運命よ!」
「知らねえよ」
「とにかく私は悪人じゃない!」
「何か証拠が欲しいならなんでも言って!」
「…ほーん…」
「い、いやらしい目⁉︎」
「してねえ」
「…じゃあさ」
「封印されてた力を可能な限り使ってみせてよ」
「ええ!わかったわ!」
…なんだ…俺は…
初めていい人そうな人と喋って…
うれしい…のか…?
「教えてあげるわ!私の能力!」
「その名も【絶対零度】!」
「これがあれば『個』の概念を壊せる」
「だから封印したがるのよ」
「で?能力は?」
「…」
「努力と才能を凍結させる」
「貴方の人生を苦しめている能力を消すことも可能よ」
「!」
「【クリムゾン】を…消せる…⁉︎」
「ええ!」
「すぐ!すぐ頼む!」
「わかったわ…いくわよ!」
「【アブソリュート・ゼロ】!!!!」
部屋が寒気でいっぱいになる。
だが、しかし…
「…消えてない」
「え…?」
「【クリムゾン】…この感じ、まだまだある」
「そそそそそんな!」
「はあ…ちょっと期待しちゃったじゃん…」
「ま、待って!私の力は「はいはい」
リリー・シエルを扉の外へ放り投げる。
そしてこういう。
「悪いな…」
「俺は、友達作っちゃいけないんだ」
「…」
扉は閉まる。
そして。
リリーの背後に……誰かいる。