thinking4『みんなみんな、クランの末裔④』
「どうしても」
「どーーーーーーしても言いたくないなら…」
「別に俺を脅迫してくれてもいいんだぜ?」
「…」
「いいや、それはやめておこう」
「…しかし、場所がわからないのは嫌だなぁ…」
「…」
「仕方ない」
「正直に言うと」
「天角学園のある生徒達に」
「リリー・シエルの暗殺を命令しに行きたいんだ」
「…」
「な、なんで?」
「理由は…『墓荒らし』だ」
「我らの崇拝する人物の墓を勝手に触ったのだ」
「リリーが?」
「ああ」
「触ったのか?」
「触ったのだ」
「へ、へえ…でも、それだけで暗殺ってのは…」
「少々危なくないか?」
「危なくなどない」
「能力を発動するまでに狙撃するまでだ」
「…いやいや、そうじゃなくてさ」
「この俺を」
「敵に回すのは」
「危なくないかって聞いたんだけど…」
「…お前、そういえば『クリムゾン』だったか」
「聞いたことがあるぞ」
「『引き分け師』だそうだな」
「ああ」
「だが…」
「人を殺せないお前に我らが倒せるとは思えん」
「ほう」
Zzz...
「おやすみ」
「さて」
「まさかこいつだけってことはないだろうな」
「…5組に行くか…」
「まあ大丈夫だとは思うけど、一応知らせよう」
ーーーー天角学園
5組付近のバリケードが荒らされていた。
「ああやっぱり…」
「でもありがたいな、今なら入れる」
「俺この罠かかっちゃうからな〜」
ガラガラガラガラガラガラ。
「失礼します」
そこに広がっていたのは、
教室とは思えないような光景だった。
1年5組・封印クラス
『耳がとんがってて目が赤い女子』
『身体中に鎖が巻きついてあるでかい男子』
『髪が藍色の男子』
『黒い影』
『ハリネズミ』
『漫画を読んでいる茶髪のメガネ女子』
『謎の刻印がある銀髪ポニーテール』
「リリー」
「あれ?クレナイ?」
「よくこれたね、どうしたの?」
「お前宛ての暗殺者がいるはずなんだけど」
「…ああ、この人?」
指差す先に、寝ている暗殺者らしき人が。
「まあ私はへっぽこ魔女だけど基礎の魔法ぐらいはちゃんと使えるのよ」
「封印能力持ってる奴が言うセリフじゃねえな」
「…そういやお前、墓荒らしたんだって?」
「荒らしてないわよ」
「…まあなんにしろ、お前結構怒られてるってよ」
「ええ…」
「じゃあ俺はこれで失礼するから」
「気をつけろよー」
「はぁい」
…リリー
よくやってくれた
これは完全に『どこか』で戦う構図だ
『今』じゃない
おかげで、
『青春している間はクリムゾンが発動しない』
本当に、よくやってくれた。
ありがたい。