thinking2『みんなみんな、クランの末裔②』
この教室は上靴を脱いで入らなければならない。
何故なら床に薄いカーペットが敷いてあるからだ。
そして2つの机がある。
仮眠するためのベッドやコンピューター、
終いにはドリンクバーまである。
(教室の奥の方には何故か畳やおぜんがある)
まさに部長リリー・シエルにとっての理想の空間。
「うん…」
「うんうんうんうんうんうん!!!!」
「中々いいじゃないの!」
「…なあリリー」
「何?」
「2つ目の机、随分端に寄せてるけど」
「使わないのか?」
「いいえ!使うわよ!」「何に?」
「それはまだお楽しみ!」
「…ふーん…」
「おうおういいじゃねえかお前ら」
「吹奏楽部室の面影はもうありませんね」
「あたしのスペース残ってた…」
「はいみなさん注目!」
「これが『人助け部』よ!」
「まずはここから!」
「この場所から!」
「この学校をよりよいものにしていきましょーう!」
「「おー!」」
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crimson in Help people club
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リリー・シエルは銀色のポニーテールをひらひらさせ、目的の場所へ向かっていた。
4/29、土曜日。
もちろん部活動である。
今日はあることを調べ上げる為に、
これまた美樹巴のトラックで、ある大河まで来た。
「おーいリリー、」
「こんなとこに本当にヒントがあんのか?」
「あるよ、あるはずだもん」
「…いや、ないとおかしいんだよ」
「…もっとこうさ、確実性が欲しいんだけど」
美樹巴がこういうのも仕方ない。
天角学園は関東のとある離島にあるから、
ここまで来るのに10時間(体感)は運転しっぱなしだったのだ。
(ちなみに離島なのでその10時間が始まる前までに20分もボートを漕がなければならなかった)
「…で、そろそろ教えてくれてもいいと思うけど」
「ここに何を探しに来たんだよ」
「…仕方ない」
「人助け部だけの秘密にしておきたかったけど…」
「顧問だ馬鹿野郎」
「ジャック・ザ・リッパーって知ってる?」
「知ってるが」
「切り裂きジャックって奴だろ?」
「まさかそいつの墓がこの川にあるとでも?」
「ううん、無い」
「でも、代わりに…」
「切り裂きジャックに憧れた殺人鬼の墓がある」
「…?」
「巨悪に憧れるような奴らは世界中にいる…」
「その中で特に目立つのが『ジャック団』ってとこ」
「完全犯罪を目標にしてるらしいわ」
「ほえ〜」
「で」
「その『ジャック団』の創立者の墓…」
「それがここにある」