thinking1『みんなみんな、クランの末裔①』
4/28(金)放課後
リリー・シエルは鼻歌を歌いながらショッピングモールを歩く。
可哀想なことに彼女に関しては、
たったそれだけのことで疑問が生まれる。
基本的に封印状態の彼女がなぜここにいるのか。
理由は簡単。
『部活の買い出し』だからである。
しかしいかにも女子の好きそうな所に入店。
明らかに部活と関係のないぬいぐるみとシュシュを購入。リリーの女子力が20アップした。
気を取り直してリリー・シエルが来たのは、映画館。
どうやら気の取り直し方が悪かったらしい。
彼女は『暮らしに潜む悪魔3』を堪能した。
リリー・シエルはやっと任務を思い出し、
フードコートへ向かった。
思い出す任務を間違ったらしい。
彼女は限定『天守閣チョコパフェ』を喰らった。
こんなことをしている場合ではない。
リリー・シエルはコーヒーショップへ。
そんなことをしている場合ではない。
今回リリー・シエルが買わなければならないのは、
『家具』である。
そう、紅達は、
現人助け部部室をDIYして、
誰でも気軽に入れる、
図書室のように改装しようとしている。
では気軽に入って何をするのかというと、
もちろん『個性消去』だ。
天角学園には、
生まれ持った才能のせいで苦しむ者や、
望んでもない力を与えられたせいで人生が狂った者がいることがこの間の件で証明された。
“そりゃ、普通の人間が一番だもん”
だから、
人助け部は夢をお届けする。
部室に来れば、
①普通の人間になれる!
②ついでに薙紫紅があなたの今後の生存を保証!
この内容のポスターを貼って予告をした結果、
なんと希望が殺到した。
これから相手する『連続殺人犯クラス』からも、
実に10人から予約したいとの声が。
キャンディ先生の言うことも、
『半分』はちゃんと聞いてる、
という結果になった。
リリー・シエルは美樹巴のトラックに乗って、
荷台に選んだ家具を乗せて学校に帰っていく。
「…そういえばさ」
「先生達は協力してくれないの?」
「生徒指導なんでしょ?」
「…わたしらは生徒を抑えることしかできねぇ」
「君らみたいに全能じゃないんだよ」
「はいはーい」
「返事は一回!」
「ははははははははははははーい」
「…」
「邪魔はしないよ」
「…この前5組をみせてもらったけどさ」
「随分、窮屈そうだったじゃないか」
「…」
「地蔵みたいな状態で一日のほとんどを過ごす君らのことを考えたら…」
「なんだか同情してしまってな」
「だから邪魔はしないよ」
「…あざーっす…」
なんか変な感じ!